2021-06

2020・11・30(月)鈴木優人プロデュース「四季」&ケージ

       よみうり大手町ホール  7時

 読売日本交響楽団恒例の「読響アンサンブル・シリーズ」の一環。長原幸太をリーダーとする10人の弦楽アンサンブルと、打楽器の西久保友広および野本洋介が出演。

 今回はヴィヴァルディの「四季」4曲と、ジョン・ケージの作品4曲とを交互に演奏して行くという奇想天外な面白いプログラムが組まれ、ケージの作品からは「Our Spring will Come 私たちの春が来る」、「ヴァイオリンと鍵盤のための6つのメロディ」から3つ、「リビングルーム・ミュージック」から「メロディ」、「Credo in Us」が演奏され、最後に一柳慧の「In Memory of John Cage」が演奏された。

 企画としてはさしずめ、珍しくもジョン・ケージの作品をやるが、それだけでは客が来ないだろうからヴィヴァルディを交ぜる━━という趣旨だったのだろうと思ったら、実は逆で、「四季」をやりたいけれども何を交ぜるか、というところから発展してジョン・ケージが選ばれた、ということなのだそうな。まあ、どちらでもいいが。

 ステージにはリビングルーム風な家具調度が置かれ、レトロなラジオや電気スタンドも飾られ、本箱にはケージが好きだったキノコや鈴木大拙の著書など(これはこちらからは見えなかったが、プレトークで鈴木優人が説明した)もセットされるという凝りようである。なかなかいい雰囲気だ。

 ジョン・ケージの曲は、私も生意気盛りの1960年代前半には、草月会館(旧)へ通って、一種の前衛気取りのステータス気分で、のべつ聴いていたものだ。もっともあの頃は専ら「偶然性音楽」が流行っていたものだが━━。最近はトンと聴く機会を得なかったので、喜んで出かけた次第である。
 やはり面白い。その中でもやはり最も長い「Credo in Us」が圧巻で、ピアノ、プリペアード・ピアノ、ドラム、缶を打楽器風に叩く音(打楽器奏者たちの巧いこと)、ラジオと蓄音機(!)から流れる音なども交錯して、「雑然たる音群の整然たる構築」が繰り広げられる。

 正直なところ私には、前半では「四季」の「春」と「夏」のコンチェルトが長すぎるように感じられ、もっとジョン・ケージが聴きたいな、と思ったくらいだ。
 だが、後半に至って「四季」での演奏がガラリと変わり、「秋」と「冬」などでは弦の奏法も多彩、長原幸太らの演奏も激しさと凄味を帯びて、いとも鮮烈極まるヴィヴァルディが立ち現れた。こうなるとヴィヴァルディとケージの音楽とが完全に一体化して、互いに触発し合うイメージになり、かくてこの2人の作曲家を組み合わせた趣旨が完璧に成立するといったものになる。これこそ、企画の成功を意味するものだろう。

 鈴木優人は全曲出ずっぱりで、ヴィヴァルディではチェンバロを弾き、ケージではピアノを弾きつつ自ら操作してプリペアード・ピアノを弾き、ついでにドラムまで叩くという八面六臂の活躍ぶりで、この日の立役者となった。彼はこの秋、まさにブレークした感である。

コメント

鈴木優人さん

東条先生のおっしゃるように、鈴木優人さんの「ブレーク」ぶりは目覚ましく、コロナ禍で沈滞しがちな音楽界を元気づけてくれていると思います。

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