2021-06

2020・11・25(水)東京二期会 レハール:「メリー・ウィドー」

      日生劇場  6時30分

 「日本語字幕付きの日本語上演」で、5回公演。
 指揮は沖澤のどか、演出は眞鍋卓嗣。今日のキャストは初日組で、与那城敬(ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵)、嘉目真木子(寡婦ハンナ・グラヴァリ)、三戸大久(ツェータ男爵)、箕浦綾乃(ヴァランシエンヌ)、高田正人(カミーユ)、岸本力(ボグダノヴィッチ)、新津耕平(カスカーダ子爵)、湯沢直幹(サン・ブリオシュ)、その他の人々。喋り役の山岸門人(ニェーグシュ)のみは全日。東京交響楽団と二期会合唱団。

 若手の注目株、沖澤のどかのオペレッタの指揮は注目されたが、ドライなこの劇場の音響を巧く処理するという点では━━初日だったこともあって━━未だ完璧な状態ではなかったように感じられた。冒頭から東響を勢いよく響かせつつ飛び出したことには期待を持たせたが、この作品の音楽に備わる洒落っ気や瑞々しい色気をオーケストラから引き出すのは、劇場のアコースティックな面からも、そう簡単ではなかったようだ。
 でもまあ、第2幕後半でカミーユがヴァランシエンヌに迫る場面に必要な官能的な表現は、これまでいくつか聴いた日本のオーケストラの演奏よりは巧く行っていたと思うが。

 舞台は、新型コロナ禍対策で「密」を避けたせいか、夜会は出席者の数も少なく、少々寂しい感。単色系の舞台装置が、華やかさを更に薄めさせる。
 それらは仕方がないとしても、やはり問題は、「全体の流れ」だ。セリフの運びを、もう少しテンポよくリズミカルに、つまり音楽そのものの雰囲気に準じるテンポで構築できなかっただろうか? セリフによる芝居の部分と音楽の流れがどうにも合致せず、それが何かまだるっこしさというか、間延びした雰囲気を生んでしまう。従ってその瞬間、舞台には一種の白けた空気が感じられるのである。だがこれは、日本での日本語オペレッタ上演にはよくあることだ。

 私の体験では、これまでそうした「間延び」や「白け」を感じさせなかった「メリー・ウィドウ」の舞台はただ二つ。一つは、1972年の二期会上演(立川清登、伊藤京子ら)、もう一つは2008年6月23日に観た佐渡裕プロデュースの兵庫県立芸術文化センター上演での「関西のノリ」満載の舞台(桂ざこば、佐藤しのぶ、大山大輔ら)である。

 今回の歌手陣は、一部高音が苦しかった人はいるものの、手堅い感はあるだろう。ただ、前述の流れの問題もあって、歌唱にも全体に「硬さ」が取れない。芝居=演技という点では、ダニロの与那城敬が顔の表情も加えて細かい演技を見せていたが、他の歌手たちにも、もう少し躍動感ある演技を見せてもらいたかったものだ。
 ━━それやこれやで、今日の上演は、沸き立つ華やかさには乏しかった。

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