2021-06

2020・11・24(火)鈴木優人指揮読売日本交響楽団「運命」他

       サントリーホール  7時

 村治佳織がソロを弾くロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲」を間に挟み、前後をベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第3番」と、「交響曲第5番《運命》」で固めた「名曲シリーズ」。コンサートマスターは小森谷巧。

 鈴木優人が指揮するベートーヴェンの交響曲は先月「田園」を聴いたばかりだが、それはこの曲にしては荒々しくて鋭角的な演奏だった。だが今日の2作品ではその性格上、その手法が効果的に生きるだろう。
 「レオノーレ」3番では、各主題、各モティーフがごつごつと浮き出て、かなり攻撃的な演奏となり、荒々しいドラマを想像させる演奏となった。最後のクライマックスの個所でベートーヴェンが指定しているfffが、スコア通り、ffよりも本当に強い音で演奏されたのを聴いたのは、今回が初めてかもしれない。

 「5番」も、さらに戦闘的な演奏である。ティンパニとホルンを咆哮させ、鋭いリズム感で殺到し、特に両端楽章ではエネルギーを熱狂的に解放する。聴き手に安堵感を与えない、全ての邪魔物を蹴散らしながら突進して行くようなベートーヴェンだ。痛快そのもので、スリリングでさえある。これは、最近の欧州系の若手指揮者たちが進めている路線と軌を一にするスタイルだろう。こういうベートーヴェンを躊躇いなく演奏する指揮者が日本にもついに登場したことは面白い。

 読響は、第1楽章前半ではこの速いテンポに追いつかぬような部分もあったが、緩徐楽章を経るうちに立ち直ったようだ。
 第4楽章での躍動感は目覚ましい。この楽章に入った瞬間、意外に渋い音色だったのにはオヤと思ったが、その提示部が勢いよくリピートされはじめた際には、音色が俄然明るくなったのは━━偶然か意図的か。意図的なものだったのなら、それはそれで面白い解釈だが、もし偶然そうなったのなら、鈴木優人と読響の呼吸はこれから、ということになるだろう。

 この優人と読響の沸騰するベートーヴェンの中に割って入ったギターの村治佳織は、ちょっと異質な存在のイメージになったことは否めないが、じっくりとロドリーゴの世界を主張したと言えよう。そして、ソロ・アンコールで弾いた「アルハンブラの思い出」は、ホール内の人々の心を惹きつけた。

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