2021-06

2020・11・19(木)鈴木優人指揮読売日本交響楽団

      サントリーホール  7時

 活躍目覚ましい鈴木優人(読響の「指揮者/クリエイティヴ・パートナー」)が、シャリーノの「夜の自画像」、シューベルトの「交響曲第4番《悲劇的》」、ベリオの「レンダリング」を指揮した定期。コンサートマスターは長原幸太。
 新型コロナ感染急拡大の影響で出足が鈍ったか、それともプログラムが渋い所為か、客の入りはソーシャル・ディスタンス方式時期のそれを下回っていたけれども、演奏会そのものは実に面白い内容だった。

 最初に現代作曲家サルヴァトーレ・シャリアーノ(1947~)の「夜の自画像」(1982年)が極度に静謐な世界━━解説には「背景のノイズ群が緊張感の推移を司る」とあるが、私には逆で、恰も松林を渡る壮大な、しかも懐かしい風の音を連想させた━━を築いたあと、ややバロック的なイメージの演奏によるシューベルトの「第4交響曲」が鳴り響き、休憩後にはシューベルトの所謂「交響曲第10番」に基づくルチアーノ・ベリオ(1925~2003)の「レンダリング」(1990年完成)が展開する、という流れだ。

 この「レンダリング」は、これまで聴いたいくつかの演奏では━━たとえばユベール・スダーンの指揮では、シューベルトの世界が基盤となり、そこに白昼夢のようにベリオの世界がめらめらと燃え上がって来る、というべきイメージで描かれるのだが、今回の鈴木優人の指揮では、冒頭からベリオの奇怪な世界を基盤として演奏が構築されているかのように感じられる。つまり、ベリオがすでに魔王の如くシューベルトを取り込んでしまっており、音楽全体をベリオが支配しているようなイメージとなっていたのである。

 こういうアプローチも面白い。「レンダリング」におけるこの性格づけが即ち、その前のシューベルトの「4番」と明快な対を為し、併せて冒頭のシャリアーノの世界と呼応し合う、という結果を生んでいるだろう。
 読響の演奏も鮮やかで、気持のいい演奏会であった。

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