2021-06

2020・10・24(土)三ツ橋敬子指揮東京混声合唱団

      東京文化会館小ホール  3時

 東混の定期公演。前半に林光の「黒い歌 混声合唱のために」と、西村朗の「炎の孤悲歌(かぎろいのこいうた)=柿本人麻呂の歌に依る」。後半にフォーレの「レクイエム」。

 東混のメンバーは、秘密結社団員の覆面みたいな「歌えるマスク」を着用しての演奏。
 ホールは今や通常スタイルの客入れ方式となり、ぎっしり満員の盛況。めでたい話には違いないが、久しぶりにこういう「満員客席」に座ると、何となく圧迫感に襲われないでもない。

 前半の2曲は、無伴奏での演奏だ。「黒い歌」は1964年の、「炎の孤悲歌」は1990年のそれぞれ東混委嘱作品。所謂「コーラス曲」のような素朴なものではなく、どちらも複雑な合唱曲で、えらい難しい歌唱力を要求されるようである。
 三ツ橋敬子のプレトークに西村朗が呼ばれ、初演の時に古参のメンバーから「こんなの歌えねえよ。お前が自分でやってみろ」と凄まれた、という話を披露、三ツ橋が「その頃のメンバーが未だ6人くらいいらっしゃるようですよ」と受けて聴衆を笑わせていた。

 後半のフォーレの「レクイエム」は、オーケストラ・パートを信長貴富が弦楽五重奏とポジティヴ・オルガンとに編曲した版で演奏された。
 折角のアイディアだったが、残念ながらこれは成功だったとは言い難い。というのは、弦楽五重奏の音があまりにクリア過ぎ、シャープで大きな音量で響くので、この作品特有の柔らかく夢幻的な世界がどこかへ消し飛んでしまっていたからだ。特に今日は超満員のため、ホールの残響も吸われてしまっているから、なおさら音が乾いて聞こえ、些か刺激的な、ギスギスしたフォーレといった音楽に感じられてしまうのである。

 もしもっとよく響く大きなホールとか、残響豊かな教会とかで演奏されていたなら、響きも音色も少しは異なって聞こえただろうと思うが━━。合唱を含めて、何か落ち着かぬ感に支配された「フォーレのレクイエム」だった。
 声楽のソロは澤江衣里(S)と宮本益光(Br)で、これは素晴らしかった。

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大阪での演奏会

12月12日に、大阪の住友生命いずみホールで、東京混声合唱団の演奏会があります。ラフマニノフの晩祷、これを楽しみにしています。

 「合唱も含めて‥落ちかつかない」とのことですが、個人的な感想ではありますが、私も先日の杉並の演奏会では、最初の三善晃の女声合唱の最初の2曲や、2曲目の上田真樹氏のモーツァルトの名曲のメロディを集めた新作でも、部分的に何か、バラバラ感を感じることが多く、女声で1人2人、何か混じらない地声っぽい声が気になることがありました。(3曲目は、まずまず良かったですが、あくまで個人の感想です。)
 また、2曲目では「パパパ‥」など数曲、3曲目のラターでもソロがあったわけですが‥若い学生の方々などは曲が終わると、随分、熱く、「パンパンパン‥」と大拍手でしたが、私は‥「ムムム‥」‥でした。
 例えば、東条先生が講座をお持ちになっておられる、びわ湖ホールの声楽アンサンブルなどは、例年、もう数週間(3月)でメンバーが一部入替えになる時期である訳ですが(詳細は4月以降でなければわかりませんが)、同じプロの声楽団体でも、東西でいろいろ状況が違うな‥と改めて、いろいろと考えました。

 前記述冒頭、 「合唱も含めて‥落ちかつかない」→ 「合唱も含めて‥落ちつかない」でした。失礼いたしました。

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