2021-06

2020・9・26(土)高関健指揮東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

      東京オペラシティ コンサートホール  2時

 9月定期。常任指揮者・高関健の指揮。
 テーマは「オルガン」ということで、バッハ~エルガー編の「幻想曲とフーガ ハ短調 BWV537」、ジョゼフ・ジョンゲンの「オルガンと管弦楽のための協奏的交響曲」(ソロは福本茉莉)、フランクの「交響曲ニ短調」。コンサートマスターは戸澤哲夫。

 ホールでは、いつの間にかビュッフェ・カウンターもクロークも開いていた。少しずつではあるが、各方面に「コロナ以前」のスタイルが蘇ってきたようである。客席の配置も既に「通常の」スタイルに戻されていた。もっともシティ・フィルの場合は、8月12日の「ブル8」の時にも、事務手続き上の理由とやらで市松模様への変更は行わぬまま「席の移動自由」で通していたのだが。

 さて今回のプログラム。いかにも高関の選曲らしく、新鮮で、凝っていて、気が利いていて、面白い。
 冒頭のエルガーの作品は、これがバッハのオルガン曲の編曲ものかと思わせるほど破天荒なものだ。大音響はともかく、オーケストレーションは放胆で豪快で凄まじく、特にエンディングに至ってはドッシャンガッシャンの暴発的な怒号で、あの上品な(?)エルガーがよくまあこんな・・・・と、唖然とさせられる。

 フィラデルフィアの有名なデパート「ワナメーカー」の建物内に設置された巨大なオルガンのデモンストレーションのため、1926年に書かれたというジョンゲンの「協奏的交響曲」も、なかなか激しい曲だ。
 マエストロ高関はプレトークで「オルガンとオーケストラの決闘と言われたほどの曲で・・・・オルガンが勝つか、オーケストラが勝つか、多分オルガンの勝ちでしょう」と語っていたが、まさにその通りのイメージの作品であった。

 ソリストの福本茉莉さんは、休憩時にロビーで見かけた時にはごく親しみやすいお嬢さんという感だったが、ステージで背中を客席に向け、身体を大きく左右に揺らせ、長い髪を振り乱すようにして圧倒的な大音響のオルガンを轟かせるさまは、結構な迫力であった。
 曲は40分近く、この長さには少々もたれるけれども、こういう珍しい曲を紹介してもらえるのは、コンサートホールならではの楽しさである。

 後半はおなじみ、フランクの「交響曲」だったが、これも何故か、前述の2曲での嵐の如き怒号がそのまま乗り移ったのではないかと思われるほど、この曲の演奏としてはかつて聴いたことのないような猛烈な表現になった。解放的というか、豪放磊落というか。
 ふだんは渋くて落ち着きのあるこの交響曲が、かくも激烈な演奏で再現された例は、私は初めて聴いた。もともとオルガニストだったフランクがこの曲に籠めたオルガン的な響きを取り出そうという狙いがあったかもしれないし、いずれにせよ高関さんのことだから確信犯的な所業だったのだろうと思う。
 私は呆気に取られ、少なからず反発しながら聴いていたが、しかし、面白いのは事実だった。

 今日の演奏会、すべてがユニークであった。こういう「はじけた」プログラミングや、大胆で実験的でユニークな演奏が出来るのは、シティ・フィルならではの強みかもしれない。

コメント

「反発を覚えながら、面白いのは事実」というのが面白いですね。フランクの「交響曲」がそんな風に演奏されるのを聴いてみたいものです。
 私の住む大分市で来月から2つのアマチュアオーケストラを聴きに行こうと思ってますが、両者ともパンフの裏面はかなり細かな「コロナ対策」を客に強いるもので興醒めしております。今回のシティフィルの様子を伺うと余計に違和感が増します。仕方が無い事かもしれませんが。

アマオケの状況

東京のアマオケ関係者です。コメント欄の《かなり細かな「コロナ対策」を客に強いるもので興醒めして》いる、というご発言、とても残念に思います。
アマオケは趣味の活動であり、プロオケのように関係者の生活がかかっているわけではありませんので、本質的には、コロナ禍でも活動し続ける正当化事由が存在しません。したがって、単純にプロオケの公演の後追いをすることは許されません。
また、練習も公演も公共施設を利用して行うので、会場施設の感染防止ガイドラインに厳格に従う必要があります。もしガイドラインを守らずに(あるいは守っていても)、練習や公演でクラスターを出したら、二度と活動ができなくなり、解散せざるを得ないでしょう。クラスターの発生を避けるためにアマオケ関係者がどれだけ心を砕いているか、どうかご理解いただきたいと思います。
首都圏でもしだいにアマオケ演奏会が開かれるようになってきましたが、その多くは「無観客/オンラインのみ」「家族のみ」「招待客のみ」です。もちろん、団員としても不本意ではありますが、お客様に安心してご来場いただけるようになるまで一般公開をしないことこそがむしろアマオケの社会的な責任であるとも言えます。平たく言えば、「不要不急の用事で安易に人を呼んだり集めたりすべきでない」ということです。そのような制約と、団員の「演奏したい」という気持ちとのバランスをとった結果が、この「半ば非公開」という開催形態です。
ただし、以上はあくまでも首都圏の状況であり、大分とはまた異なっているでしょうから、同列に論じるべきではないかもしれません。「感染リスクが低いのに、大都市圏並みの規制を課す意味はあるのか」という議論は、もちろん、あってもよいと思います。それでも、アマチュアが置かれている基本的な状況はどの地域でも同じであろうかと思い、投稿した次第です。

>客席の配置も既に「通常の」スタイルに戻されていた。
というのは誤りです。1席おきの千鳥配席でした。
シティフィルは9月~11月の定期会員席は再配席済、
一般販売チケットを含め客席50%制限で開催する、と
公式HPにて告知しています。
11月以降の主催公演については検討中とのこと。

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