2021-06

2020・9・18(金)沼尻竜典指揮新日本フィルハーモニー交響楽団

       すみだトリフォニーホール  7時15分

 聴衆の座席配置は例のごとくソーシャル・ディスタンス対応の市松模様スタイルながら、椅子に貼られた「ここは座れません」という表示のある大型シールに、すべて葛飾北斎の相撲力士の絵がデザインされているのが、いかにもこのホールらしくて微笑ましい。

 今日のプログラムは、ストラヴィンスキーの「カルタ遊び」、リストの「ピアノ協奏曲第1番」(ソリストは實川風)、サン=サーンスの交響曲第3番」(オルガンのソロは石丸由佳)。コンサートマスターは崔文洙。

 沼尻竜典が新日本フィルの定期に客演するのは実に久しぶりのことと聞く。両者の関係、客席から一望するに、何となく良い雰囲気のように感じられる。
 もちろん、演奏が良かった。サン=サーンスの「3番」の第1楽章での弦楽器群が、恰も泡立ちクリームのように柔らかい量感を以って沸騰するあたり、新日本フィルからは滅多に聴かれたことのない響きだったし、第4楽章コーダでテンポを速めて猛烈な追い込みをかける部分でも音楽が上滑りしないスリリングな趣を感じさせた。この曲、結構巧く出来ているんだな、とその良さを再認識させてくれる演奏に出会えたのは、実に有難いことである。

 ただ、冒頭の「カルタ遊び」が端整ながら硬質な、何か肩肘張ったような演奏に感じられたのは、指揮者とオケの呼吸が未だ万全ではなかった故だろうか? せめてもう少し清澄透明な構築になっていればと思ったのだが、これは指揮者の意図的なアプローチだったのかもしれないから、一概に云々はし難い。しかし、これがリストのコンチェルトに入った瞬間、オーケストラの響きが俄然分厚い重量感を帯び始めたので、一瞬安心させられた次第であった。

 なお、これも久しぶりに聴いた實川風(じつかわ・かおる)のソロは、リストの作品ということもあってか、かなり体当たり的で激烈なピアノになっていた。それは若さの炸裂と考えれば微笑ましいが、リストの音楽はただ荒々しい名人主義的なものだけではなかろう。アンコールで弾いたドビュッシーの「花火」も、猛烈な花火といった感で苦笑させられたが、それはそれでいいとしても、もう少し緻密で幻想的な色彩感が欲しいものである。

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