2021-06

2020・9・13(日)原田慶太楼指揮東京交響楽団 「名曲全集」

       ミューザ川崎シンフォニーホール  2時

 スッペの「詩人と農夫」序曲、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第0番」、プロコフィエフの「交響曲第5番」。何とも変わったプログラムだ。

 コンサートマスターは水谷晃。
 オーケストラの編成は弦14型(コントラバスは7本)、プロコフィエフの「5番」は3管編成。少なくともステージの上ではいち早く「コロナ以前」の「通常の」スタイルに戻ったということになろう。在京楽団の中でこの東京交響楽団、何かにつけて先端を行く活動が目立つ。

 指揮者・原田慶太楼は、登場すると答礼なしにいきなり「詩人と農夫」を振り始めた。拍手の中からあの柔らかいファンファーレ風のテーマが始まるという演出で、またこのテーマがすこぶるバランスのいいアンサンブルと音色だったので、これは曲の性格に相応しい快調なスタートだったであろう。
 適度な芝居気、元気一杯の指揮、解放感満載のフォルティッシモ、━━若い指揮者ならではの勢いがあって、たとえ大暴れの演奏であっても大目に見ようという雰囲気になって来る。

 とはいえ、「詩人と農夫」ならともかく、プロコフィエフの「5番」のように複雑な作品になると、ただ勢いで押しまくるだけでは、この作品の真髄に迫ることは難しい。いや、難しいどころか、今日の打楽器群の破壊的な怒号は、他の楽器群のフォルティッシモをさえ屡々霞ませ、その都度作品の容を失わせてしまったきらいがあるのだ。
 エネルギッシュであること自体は決して悪くはない。が、作品の多彩な性格を再現するためには、たとえば内声部が交錯する動きを常に明確に浮き彫りにするといったことも必要であろう。その修練を積んでほしいところである。

 ただし今日は、その演奏の荒々しさゆえに、図らずも作曲者の狙いが見事に蘇っていたであろうと私には思われた個所がある。「こけつまろびつ」突進して来たオーケストラが、全曲終了直前、急激にその音量を減じて謎めいた私語を交わすかのような部分(最後から3小節目と2小節目)で、ここでの一瞬の変化がすこぶる好かった。

 これら2曲の間に、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第0番WoO4」なる曲が演奏されたが、これは彼のボン時代、14歳の時の作品で、ヴィリー・ヘスにより管弦楽パートが復元されたもの。子供の作品にしては歯が強い。
 ソリストは最近注目されている鐡百合奈(てつ・ゆりな)で、才人らしい選曲と演奏だったが、彼女の演奏家としての本領を知るには、必ずしもそぐわない作品だったようだ。

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