2021-06

2020・7・14(火)原田慶太楼指揮読売日本交響楽団

     サントリーホール  7時

 アーティスト来日不可能のため中止になった第600回定期公演(ヴァイグレ指揮の「ヴァルキューレ」)に替る特別演奏会。

 このところの都内新規感染者増大への不安が嵩じての影響か、今夜の客の入りは残念ながらあまり芳しくない。クラシック音楽のコンサートは、入り口ではアルコールによる手消毒と非接触体温測定を実施、座席配置の間隔も充分に採って密集を避けるなど、くどいほど真面目に感染防止のための対策を徹底しているのだから、まず心配はないはずである。ほんの一部の不注意グループの所業が祟って劇場の活動全体にまで規制を云々されかねないのは、嘆かわしいことだ。

 今夜の客演指揮者、原田慶太楼は、つい数日前、東京交響楽団の正指揮者への就任(2021年4月より)が発表されたばかりである。未だ35歳の若さだが、既にシンシナティ響のアソシエート・コンダクターを務めたキャリアもあり、2020年シーズンからはジョージア州サヴァンナ・フィルの芸術監督にも就任と聞く。ステージマナーはアメリカ仕込み(?)の陽気さで、音楽づくりも実にユニークで面白い。

 前半にコープランドの作品が2曲あり、「市民のためのファンファーレ」(金管11、打楽器3)が明快でダイナミックに、続いて「静かな都市」(弦、北村貴子のコール・アングレ、辻本憲一のトランペット)が叙情的に演奏され、それぞれの曲の良さを堪能させてくれた。
 ところが、この切れのよい音楽のつくり方が、後半のハイドンの「軍隊交響曲」では、一転する。

 彼は、古典の交響曲を、明晰かつ端正に構築するのではなく、むしろ旋律やフレーズやハーモニーやリズムの輪郭を滲ませたような音の組み立てをやる。これには少なからず驚かされた。従ってここでは、所謂古典派的な清澄さの代わりに、やや粘り気のある混沌とした響きがしばしば生まれる。
 ただこれが決して制御不在の混乱状態にならず、むしろ確信的に構築され、しかも見事なほどの活気を以って、時には重厚で壮大な響きで繰り広げられて行くところが、若い指揮者にしては実にユニークで面白いと感じられる所以である。

 そして、アンコールで演奏されたシューベルトの「軍隊行進曲」が、これまた全体にヴェールをかけたような、高音域を減衰させたような、徹底的にくぐもった音色になっていたのも興味を惹いた。日下紗矢子をコンサートマスターとした読響の弦が、最後まで完璧にこの音色を押し通していたところも面白い。

 この2曲を聴く限り、彼が徹底的に音色や響きにこだわりを示す指揮者だということが感じられる。なんとも面白い若手が現われたものである。これからはオケとの相性も重要な要素になるだろうが、注目しよう。
 彼が正指揮者になる予定の東京響との協演は、直近では8月10日にミューザ川崎で行なわれるはずである。

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TVやÑ響のほっとコンサートにも登場していますね。昨年、堺フェニーチェでの大阪響とのバーンスタイン特集が快刀乱麻のスケールの大きい指揮ぶりで圧倒された。いかにもアメリカ的な快活さを感じされたがロシアにも学びに行っていることもありこれから目を離せない逸材の登場です。

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