2021-06

2020・7・11(土)東京二期会、ガラ・コンサートで再始動

       東京文化会館大ホール  3時

 本来なら今日あたりは、東京二期会の「ルル」が上演されているはずだったが━━。
 その代わりに東京二期会は、「スペシャル・オペラ・ガラ・コンサート 希望よ、来たれ! KOMM、HOFNUNG!」と名づけたアリア・コンサートで再始動(再起動?)を行なった。
 沖澤のどか指揮東京交響楽団をバックに、7人の看板歌手たちが、ここ何か月間にわたり活動を抑圧されていたことへの溜まり溜まった鬱憤を蹴散らすかのように、朗々たる快唱を披露する。

 第1部では、木下美穂子が「フィデリオ」(ベートーヴェン)から「悪者よ、何処へ急ぐ」、城宏憲が「トスカ」(プッチーニ)から「星は光りぬ」、中島郁子が「セビリャの理髪師」(ロッシーニ)から「今の歌声」、黒田博が同オペラから「わたしは街の何でも屋」を歌い、
 第2部では妻屋秀和が「魔笛」(モーツァルト)から「イシスとオシリスの神に祈りを」、森谷真理が「ルル」(ベルク)から「ルルの歌」を、そして最後に福井敬が「トゥーランドット」(プッチーニ)から「誰も寝てはならぬ」を歌って締めた。

 いやもう皆さん、実に気持よさそうに歌うこと歌うこと、東京文化会館大ホールの大空間を思い切り響かせて、持てるものすべてをこの一瞬に賭けたという感の歌唱を披露してくれた。飛沫感染を避けるため聴衆のブラヴォーは禁止されていたが、もしそうでなければ、客席は沸き返っていたことだろう。なお「ルル」では、中村蓉のダンスが加わり、ルルの激しい感情を視覚化するという趣向が為されていたのもいい。

 これに加え今日は、帰国した沖澤のどかの指揮が久しぶりに聴けたのが興味深かった。各部の冒頭では、それぞれ「フィデリオ」と「魔笛」の序曲が演奏されたが、そこでの彼女の指揮は極めて引き締まっていて切れ味もよく、好感をいだかせた。直線的で生真面目過ぎるのが問題だが、こういうコンサートではどうせリハーサルの時間も少なかったのだろうから、多くを望むわけにも行くまい。

 彼女、エンディングをひときわ強奏して盛り上げるのが癖のようだが、それも良いけれども、「何でも屋の歌」の最後など、オケをもっとリズミカルに煽り立てつつ盛り上げて行けば、さらに劇的になるのではないか。一方、「ザラストロのアリア」の最後、超低音のヘ音をバス歌手が響かせる際に、オケをスッと抑えてやるくらいの細やかさも欲しいところだ。「魔笛」序曲の序奏での音色の清涼さには感心した。

 東京響は、ホルンがいけない。「フィデリオ」では、序曲でもアリアでも、肝心のホルンがグラグラしていて、後者では折角の木下美穂子の熱唱の足を引っ張った。

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