2021-06

2020・7・3(金)METライブビューイング「アグリッピーナ」

     東劇  11時

 珍しや、ヘンデルのオペラ「アグリッピーナ」! 
 デイヴィッド・マクヴィカーの新演出で、2月6日にプレミエされ、3月7日までの間に計9回上演されるスケジュールが組まれていた(多分全部上演されたのでは?)。今回上映されたのは2月29日の上演ライヴだ。

 指揮はハリー・ビケット。主要歌手陣はジョイス・ディドナート(ローマ皇妃アグリッピーナ)、マシュー・ローズ(ローマ皇帝クラウディオ)、ケイト・リンジー(アグリッピーナの連れ子ネローネ)、イェスティン・デイヴィーズ(ローマ軍の司令官オットーネ)、ブレンダ・レイ(その恋人ポッペア)、ダンカン・ロック(自由民パッランテ)。

 休憩1回ながら上映時間4時間。おそろしく長いけれども、演出の素晴らしさ、歌手陣の巧さ、ビケットの指揮の颯爽たるテンポと勢いの良さ、そして曲の良さなど、実に鮮やかな出来の上演だ。これはMETの最近のプロダクションの中でも傑作の一つと言っていいのではないかと思われる。

 マクヴィカーの演出は、ローマ帝国時代の物語を完全に現代風の設定に置き換え、権力術数と陰謀の渦巻くどろどろしたストーリーをコメディ風のタッチでカラリと描き出すという見事な技を具現したものだ。ポッペアの「復讐のアリア」を酒場での泥酔シーンと絡ませるアイディア一つとっても、秀抜の極みであろう。

 それに歌手陣の、歌唱から演技から、揃いも揃って巧いのなんの。ジョイス・ディドナートの凄味と迫力のある悪女ぶり、ケイト・リンジーがズボン姿で繰り広げるイカレた若造ぶりなどをはじめ、本当に役者揃いだ。よくあんな猛烈な演技と無理な姿勢の中で、あんな見事な歌を歌えるものだな、と舌を巻かされる。
 そしてビケットの指揮が、些かの緩みもなく息もつかせぬテンポ運びで長い全曲をまとめ上げる。━━METもいいオペラを創るものだ。

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