2021-06

2020・6・10(水)広上淳一指揮日本フィル(非公開演奏、配信用)

       サントリーホール  2時

 日本フィルが広上淳一を客演指揮に迎え、無観客での演奏をネットで生中継配信。
 プログラムは、グリーグの「ホルベアの時代」前奏曲、エルガーの「愛の挨拶」、ドヴォルジャークの「ユモレスク」、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」、最後にシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」。
 今回は弦楽器21名からなる編成のオーケストラで、コンサートマスターは田野倉雅秋。奏者たちも互いに1・5m~2mの間隔を置いての舞台配置。進行役は高坂はる香が務めていた。私はホールの現場で聴いた。

 これは、日本フィルが「とっておきアフタヌーン」シリーズの一環として予定していた公演が中止に追い込まれたため、その代替策としてサントリーホールと協力して実施した、無観客によるネット生中継のための企画であった。指揮も、当初予定されていた沖澤のどかがドイツから帰国できなくなったので、ベテランの広上が登場した、ということだそうだ。プログラムもオーケストラ編成も、大幅に変更されている。

 日本フィルがステージで演奏するのは2月19日以来ほぼ4か月ぶりとのこと。広上もステージで指揮するのは3月末の京都市響定期以来2か月半ぶりといい、またサントリーホールもほぼ2か月間休館状態にあった。何もかもが「久しぶり」ということになる。
 だが、マエストロ広上はじめ楽団関係者たちは、かくも長いブランクを強いられたことにより、むしろステージで演奏できることがいかに素晴らしいことであるかを改めて痛感し、作曲家や音楽に対する感謝と謙虚さの念をいっそう強く持つに至った、という意味のことを語っていた。もっともなことだと思う。
 そして日本フィルは、今日の企画を、公開演奏会再開への確実な第1歩としている。

 今回は非公開ではあるものの、2階客席には僅かながら記者陣の入場も認められていたので、私も取材として現場に立ち会うことができた。従って私も、3月21日に東響の演奏会を聴いて以来、ナマのオーケストラの音を聴くのはほぼ3か月ぶりになるわけである。この長いブランクが、ナマ演奏への憧れをいよいよ強く掻き立てる結果を生んだことはいうまでもない。

 久しぶりにナマで聴いた弦の音の何と美しいこと。それがサントリーホールのふくよかなアコースティックと相まって夢のような気分に誘ってくれる。
 ふだんならどうということもなく聞き流してしまうであろう「ユモレスク」が、何とまあ懐かしい音楽に聞こえたことか、そして好きな「アンダンテ・フェスティーヴォ」が何と心に強く染み入って来たことか。
 眼前で今この瞬間に生れて来るナマの音楽の生命力の素晴らしさはやはりかけがえのないものだ。この想いを一日も早く、大勢の愛好家たちとホールで共有したいものである。

 オンラインでの生中継に関しては、ご覧になった人も多いだろう。私は客席にいたため、それを視ていないが、多くのコメントが寄せられていたそうだ。
 感動を共有できるのはやはり同時性=生中継が一番だと私は思う。ただしオン・デマンドとしても、今月25日の深夜までは日本フィルのサイトを通して視ることができるはず。
 それらを有料にしたのは、寄付を募るためでもあるという。演奏会をやらなければ収入の道とてない自主運営のオーケストラが頼る縁として、それは当然の方法だろう。

コメント

アーカイブで拝聴拝見しました。

生配信を知らなかったので、アーカイブで先程拝聴しました。一番嬉しかったのは、広上さんと、コンマスの田野倉さんのエアタッチです。楽しそうでした。音楽家として、音楽を表現出来る事の幸せをかみしめながらのひととき。胸がつまりました。日本フィルさんの第1歩、拍手を贈りたいです。

日経ウェブ会員しか読めませんが、こちらに日本フィル平井理事長のインタビューが掲載されています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60294180S0A610C2BE0P00/
年4億円の赤字…背筋が凍ります。
(もしここに貼ることに問題があれば削除してください)



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