2019-05

12・6(土)シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団
ストラヴィンスキー:「エディプス王」GP

   NHKホール 11時

 夜には、これの本番がある。同時刻、サントリーホールでは東響がアダムズの「フラワリング・トゥリー」を日本初演し、東京芸術劇場では「イリス」の上演がある(もちろんコンサートも数知れずだが、聴きたかったのはこの3つ)。結局今回はN響の事務局に頼み込んで、こちらの方はGP(総練習)を聴かせてもらうことにした。

 前半に「ミューズの神を率いるアポロ」が演奏され、後半に演奏会形式でこの「エディプス王」が演奏される。
 リハーサルのため、歌手たち――ポール・グローヴズ(エディプス)、ペトラ・ラング(ヨカステ)、ロベルト・ギェルラフ(クレオン、伝令)、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(ティレシアス)、大槻隆志(羊飼)――はフル・ヴォイスは出さないが、デュトワの音楽づくりは明快に解る。良い演奏だ。緊迫感は充分だし、カタストロフィに向けての追い込みもすこぶる見事。こういうレパートリーでは、デュトワの最良のものが発揮される。本番はさぞ聴き応えがあるだろう。コロスは東京混声合唱団。

 ナレーターは、平幹二朗が担当していた。どっしりした風格のある語りが、音楽の厳しい構築にぴったり合って、きわめてドラマティックだ。これまで私が聴いた3つの「エディプス王」上演のナレーターの中では、最も演奏とのバランスがいいものだと思う。
 ちなみに最初のものは1966年4月(26日か28日のどちらだったかは忘れた)の藤原オペラによる上演(岩城宏之指揮、五十嵐喜芳のエディプス王)で、語り手は観世栄夫だった。巧かったが、何か物凄く勢い込んだものだったという記憶がある。
 2つ目は、サイトウ・キネン・フェスティバル開幕の1992年の上演(小澤征爾の指揮)。演奏も舞台も見事だったのに、白石加代子のすこぶる大時代的で物々しいナレーションが聴くに堪えず、実に居心地の悪いものだった。

 それにしても、恐ろしい物語だ――それとは全く気づかぬまま父を殺め、未亡人となっていた何も知らぬ母を妻にしてしまったエディプス王の物語。「エディプス・コンプレックス」の語源である。真相を知った母は自ら首を吊り、エディプスは両眼を抉る。王を愛していた民は、悲しみを以って優しく彼を追放する。――リハーサルながら、今日の演奏とナレーションは、その悲劇を充分に描き出してくれていた。

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