2020-07

2020・2・1(土)藤原歌劇団公演 ヴェルディ:「リゴレット」

     東京文化会館大ホール  2時

 日本オペラ振興会の制作・主催による藤原歌劇団の公演「リゴレット」。
 柴田真郁が日本フィルハーモニー交響楽団を指揮し、松本重孝が演出。

 ダブルキャストの初日たる今日は、須藤慎吾(リゴレット)、佐藤美枝子(ジルダ)、笛田博昭(マントヴァ公爵)、伊藤貴之(スパラフチーレ)、鳥木弥生(マッダレーナ)、泉良平(モンテローネ伯爵)、河野めぐみ(ジョヴァンナ)、月野進(マルッロ)他の出演。

 松本重孝の演出はこの人らしく穏健なもので、特に新しい発見を提供するというタイプのものでない。
 感心させられたのは、柴田真郁の指揮。引き締まっていて、オーケストラを切れ味よく鳴らして緊迫度を高め、ドラマを音楽的に巧く「持って行く」術にも長じている。彼の指揮をこれからもっといろいろ聴いてみたいという気になる。

 日本フィルも先年の「カルメン」以来のピット入りだが、ふだんオペラをあまり手掛けていないだけに、逆に熱意に燃えているのか、思いがけぬ好演を繰り広げてくれたのも喜ばしい。
 ステージではちゃんとした演奏をしてもピットに入ると途端に演奏が貧弱になるというオーケストラもあるだけに━━どこのどれとは申しませんが━━たまにはこういう熱意のあるオーケストラを起用してみるのも、オペラ上演の活性化に役立つように思われる。

 歌手陣の中では、題名役を歌い演じた須藤慎吾の充実がひときわ抜きんでていた。彼の歌はこれまでにもオペラでいくつか聴いていたが、今度ほどスケール感が豊かで、安定して力強い凄味を表出した歌唱は、私としては初めて聴いた気がする。特に「悪魔め、鬼め」における悲劇の道化としての凄味と迫力、そしてそれ以降の終幕にかけての緊迫度の高い歌唱は、見事な存在感であった。

 一方、マントヴァ公爵役の笛田博昭にも期待をかけていたのだが、調子があまりよくなかったか、それともこの役に合わないのか━━多分後者ではないかと思うのだが━━歌い方が恐ろしく乱暴で強引なのが、何とも気になった。こんな歌い方ではいけない。
 そういえば昔、ドラマティックな歌い方では史上屈指の存在でありながら、叙情的な弱音はおよそ苦手だった伝説的大歌手マリオ・デル・モナコは、このマントヴァ公爵役にはほとんど手を出さなかったという話をふと思い出したが・・・・。

コメント

なかなかの熱演でした!

ご無沙汰しております。小生も初日を拝見しました。確かに前奏曲の第一音から柴田真郁さんが見事な演奏を聴かせてくれました。笛田さんは、音程が少しフラット気味なところもあり、調子があまり良くないように感じましたが、その輝かしい声はやはり魅力的でしたし、佐藤さんは16歳の乙女にしてはちょっと大人っぽすぎる感は否めなかったものの(失礼)、最後のシーンは感動的でした。そして、全体を通じての須藤さんの熱唱はお見事の一言。ジルダが絶命したあとの慟哭のところでは涙があふれました。初日ということもあって、ちょっと固さがあったようにも思いましたが、全体を通じレベルの高い演奏で満足いたしました。
ところで、最後に一言、字幕についてですが、今回、一部に極めて難読な漢字が使用されていました。障害を意味する言葉で、おそらく普通の言葉を使うことが差別用語的で躊躇されたため、あえて漢字を用いたのではないかと推測しますが、そのような事情は全く分からないわけではないものの、おそらく殆どの聴衆が読めないであろう難解な漢字を使用するのはいかがなものかと感じました。ここはもう少し工夫の余地があったのではないでしょうか。諸賢各位のご意見を拝聴できればと存じます。

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