2020-04

2019・11・19(火)ズービン・メータ指揮ベルリン・フィル

     ミューザ川崎シンフォニーホール  7時

 こちらベルリン・フィルも、シェフのキリル・ペトレンコとではなく、客演のメータとの日本ツアー。

 メータは昨年のバイエルン放送響の日本公演でヤンソンスの助っ人として急遽来日した時には、介添人に支えられつつ歩いていたが、今回はステッキこそ使用していたものの、独りでゆっくりと歩みを進めてステージへ出入りしていた。
 そして、ステッキを指揮台の背後の手摺に無造作に引っ掛け、椅子に座るが早いか、そのステッキの揺れが未だ治まらぬうちに、断固たる勢いでオーケストラを率いて演奏に突き入る。その気魄は、相変わらず若々しい。

 8回公演の今日は5日目で、R・シュトラウスの「ドン・キホーテ」と、ベートーヴェンの「英雄交響曲」がプログラムだった。

 回ってきた席が2階正面2列目の最右翼という、初めて体験する位置だったので、音のバランスを判断するのには少々難しかったものの、ベルリン・フィルの巧さと力感を明確に受容することはできる。とはいえ「ドン・キホーテ」では、作品の性格から言って、各楽器のパートが室内楽的に絡み合う面白さは味わえたものの、ただそれだけにとどまったというのが正直なところだ。

 このオーケストラの実力を堪能できたのは、やはり「英雄交響曲」においてだった。
 ベルリン・フィルがベートーヴェンを演奏すると、一種の嵐のような激しさというか、巨濤が荒れ狂うような物凄さというか、そういったものが常に噴出して来る。第1楽章で弦楽器群が大きく波打ちながら主題を展開して行く個所など、まさに壮烈な趣だったし、第2楽章でミノーレに戻ってからの音楽が、ホルンのあの主題(スコア通りに3番奏者が独りで吹いていたが、結構なパワーだった)などを経て一段、また一段と力を強めて行くあたりも、いかにもベルリン・フィルらしい力感だったろう。

 更に感心させられたのは第4楽章後半で、ここがこれだけ堂々たる威容を以って演奏された例は決して多くは無いだろう。メータも、病を克服してからは、もう昔のメータとは違い、何か一種のカリスマ的な力を備えた指揮者になったような趣がある。

コメント

大阪で拝聴しました

大阪での同プログラム、[ドン.キホーテ]も素晴らしかったですが、やはり[英雄交響曲]が圧巻でした。素晴らしかったです。メータさんの指揮は気迫あふれていたと思います。東条先生のおっしゃるように、病のあとのメータさんは、カリスマ性が一段と出てきたみたい。ベルリンフィルとの演奏に感動しました。決してオーバーな言い方ではなくて、生きていて良かったです。

名古屋と大阪で聞きました。ベルリンフィルの巧さと大きな室内楽を聴いている様なストイックさにいつもながら唯一の物だと思いますが同月に聞いたウィーンフィルの一音一音に溜めのある様な味わいと豊かな響きのほうに惹かれます。名古屋でのティレーマンのブルックナーがあまりにもすばらしかったからか今回名古屋でのメータさんのブルックナーはいま一つ緩く感じて単調に感じました。もちろんスケールは大きく決めるべき所のパワーは灼熱のように熱くとても大きいのですが。大阪でも同じ様に感じました。
それにしても名古屋の2.3階の端の方までS席(43.000円)はちと無理がありはしませんか。その辺りはずい分空席が目立ちました。将来の顧客のためにも良心的に設定してもらいたいものです。

仰る通りです。東京でも当日まで席は余っていたようです。売れないんじゃしょうがない。

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