2020-04

2019・11・13(水)新国立劇場「ドン・パスクワーレ」

     新国立劇場オペラパレス  2時

 ドニゼッティのオペラ「ドン・パスクワーレ」は、新国立劇場としてはこれが初、つまり「ハウス・プレミエ」になる。

 今回はコッラード・ロヴァーリスの指揮、ステファノ・ヴィツィオーリの演出、スザンナ・ロッシ・ヨストの舞台美術。東京フィルハーモニー交響楽団、新国立劇場合唱団(三澤洋史指揮)、ロベルト・スカンデウィッツィ(ドン・パスクワーレ)、ピアニジオ・ピツーティ(マラテスタ)、ハスミック・トロシャン(ノリーナ)、マキシム・ミロノフ(エルネスト)、千葉裕一(公証人)が出演した。
 5回公演の今日は3日目。

 舞台と舞台は極度にトラディショナルなものだが、演技も非常に微細にわたっていて、それなりにユーモアもあり、娯楽作品としてはよく纏まっていたと言っていいだろう。
 それに歌手陣が粒揃いで、滋味と貫録に富むスカンデウィッツィ、軽快な動きと美しい声が映えるトロシャンらをはじめ、歌唱面でも演技面でも、まず文句はない。またロヴァーリスの指揮が、ややおとなしい雰囲気ながらもテンポよく東京フィルをまとめていたこともあって、聴き易かった。

 まあ、細かいところでは、第3幕でのパスクワーレとマラテスタのコミカルな2重唱がもう少し「合って」いればとか、全曲大詰のオーケストラのエンディングが甚だ締まらなかったとか(観客の拍手も一瞬戸惑った)いうことはあるのだが、ナマなのだし、もののはずみということもあるから、気にしないでおこう。

 ただ、下世話な(?)話になりますが、このオペラの内容は、かなり酷いエイジ・ハラスメントじゃないでしょうか? 結婚詐欺女ノリーナが「老人の夫」パスクワーレを言いたい放題罵倒する歌詞と来たら、今だったらネットで「炎上」すること間違いない。
 ━━という話を何人かの知人たちにしたら、みんな口を揃えて「そうだそうだ」と。「ありや完全な爺ハラだよ」とか、「そういえば《ファルスタッフ》だってそうですよね」とか言う人もいた。
 今日はマチネーで、高齢者の観客も多かったから、皆さん、どうだったですかね。1階席の拍手が少なかったのはそのためだったりして? まさか。

コメント

爺ハラ

爺ハラの件ですが、私はこのオペラを観ながら、絵画の「不釣り合いなカップル」のテーマを思い出しました。クラナッハ(父)が多くの作例を残していますが、他にも大勢の画家がそのテーマで描いています。金持ちの老人と若い娘のカップルを描いたもので、若い娘は老人の金が目当てです。年甲斐もなく若い娘にちょっかいを出してはいけないという教訓なのですが、「ドン・パスクワーレ」はそのような土壌がある中で作られているのではないかと思いました。

エイジハラ

私も同じ日の公演を見ました。
先生同様でエイジハラを感じました。
あれほどまでに老人(70歳と言っていたので、現代ではまだまだ)をバカにし、笑い者にし、若者の気持ちを実現させたいなら、もっと他の手もあるでしょうに。
作品が作られた時代は、これに違和感がなかったんでしょうね。
不愉快を感じたので、今後この作品を観たいとは思いません。

すごくいい演目だと思いますが、愛の妙薬や連隊の娘ほど人気がないのは、バスが主役というのもありますが、エイジハラを不快に感じる人が一定数いるからだと思います。ノリーナの最後の歌など、はじめて聞いた時はドン引きしました。ただ老人一般を揶揄しているのではなく、金持ちの老人限定ではないかと、紀州のドンファンのうような。よぼよぼの老人に若い女性が近づくのは金目当て以外にないと思います。ちなみに僕の嫁は24歳年下です。

「ドン・パスクワーレ」の筋立てですが、あれを怪しからんとおっしゃる方は、リヒャルト・シュトラウスの「無口な女」はどうなんでしょう‥。

そもそもオペラ自体がハラスメントのオンパレードじゃないか。そんなこと言い始めたらきりがないし、意味もない。

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