2019-12

2019・11・6(水)オロスコ=エストラーダ指揮ウィーン・フィル

     ミューザ川崎シンフォニーホール  7時

 ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」(ソリストはイェフィム・ブロンフマン)と、ストラヴィンスキーの「春の祭典」。
 ウィーン・フィルのロシア・プログラムなど、日本ではなかなか聴けないだろう。2004年にゲルギエフが指揮した時には、チャイコフスキーの「5番」「悲愴」などが取り上げられたことがあるが━━ましてこのオケの「春の祭典」など、それこそナマでは滅多に・・・・。

 指揮はアンドレス・オロスコ=エストラーダ。コロンビア出身の42歳の若手で、現在フランクフルト放送響の首席指揮者。4年前に同響とともに来日したことがある。来年秋からはウィーン響の首席指揮者に迎えられる予定とか。

 彼とウィーン・フィルの組み合わせにも興味があったが、流石に相手がウィーン・フィルとなると、彼もそうそう思う通りにオケを振り回すわけにも行かぬようである。「春の祭典」ではほぼイン・テンポで演奏していたが、それ以外に方法はなかったのだろう。良く言えば、豊かな重低音を基盤として、滔々たる巨河の如き音楽を構築して行ったということになるか。
 豪壮雄大で激烈な「春の祭典」ではあったが、必ずしも凶暴で刺激的な音楽ではなく、それは20世紀初頭に音楽界を震撼させた作品というよりは、今や古典的名作となったというイメージを私たちに抱かせる類の演奏であったろう。

 もちろん、重戦車の如き進軍ではあったものの、リズム感は充分で、ティンパニの歯切れのいい響きもいい。「選ばれし乙女への賛美」での煽るようなリズムなどは久しぶりに聴く小気味よさだった。金管群は強烈で、しばしば弦楽器群を覆い尽くしたが、その弦がたまに表面に現れ出た時には、それがウィーン・フィルらしい一種の甘美な艶のようなものを感じさせるのが面白い。

 オーケストラのアンコールはヨゼフ・シュトラウスの「憂いもなく」━━弦楽器奏者たちが大声で「ハ、ハ、ハ」と笑うあれである━━で、今回はティンパニの一撃に合わせて指揮者が聴衆に手拍子を一発ずつやらせるテを使っていた。
 知人によれば、昨夜指揮したティーレマンもこの曲を取り上げたというが、彼はそういうことはしなかったそうな。もっとも、あのティーレマンが笑みを浮かべて客席に手拍子を求めたりしたら、それこそ不気味だろう。

 プログラムの前半は前述の通りラフマニノフ。この「3番」をブロンフマンが弾いたのを12年前にザルツブルク・イースター音楽祭で聴いたことがある(協演はラトルとベルリン・フィル)が、その時の怒涛の演奏に比べ、随分落ち着いた表現になってしまっていたのには驚いた。この人、どういうわけか私は演奏会で聴く機会が多いけれども、正直言って、あまり感動したことはないのである。
 なお彼はアンコールにショパンの「ノクターン 作品27の2」を弾いたが、これは骨太なマッチョが優しい声で語るような、実に不思議なショパンだった。

コメント

ウィーンフィルのハルサイ

同じプログラムを拝聴しました。前半のラフマニノフは期待大だったのですが、確かにあまりスケールの大きさが感じられず、ブロンフマンも落ち着いちゃったね、との印象あり。前回来日時でしたか、すみだトリフォニーで彼の弾くプロコフィエフのソナタを聴いたときも同様の印象だったので、小生、ブロンフマンとはあまり相性がよくないのかもしれません。ただ、ほぼ同じ場所(1階センター前方)で神奈川フィルと共演したオピッツのブラームスを聴いたときも満足できなかった記憶があるので、ミューザの1階はピアノを聴くにはあまりよくない場所なのかもしれません。

後半の「春の祭典」は素晴らしかったですね。ウィーンフィル独特の音色で(迫力も十分でしたが)少し洒落た、品のあるハルサイを聴かせてくれたように思います。「なんでウィーンフィルでこの曲を聴かなあかんねん」(ウィーンフィルなら別の曲を聴きたかった)と思ったのも事実ですが、それなら別の日に行けよ、と言われるでしょうから、貴重な体験だったと思い直し、これからは「ねえねえ、ウィーンフィルのハルサイの実演、聴いたことある?」と自慢させていただくことにしましょう(笑)。

大阪で拝聴しました

大阪での指揮は、クリスティアン.ティーレマンさん。プログラムは、リヒャルト.シュトラウスの[ドン.ファン]、[ティル.オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら]、[ばらの騎士]と、ヨハンシュトラウスの[ジプシー男爵]と、ヨーゼフ.シュトラウスの[神秘な魅力]でした。初めて拝聴する曲もあり、ウィーンフィルの茶目っ気を感じました。アイコンタクトも魅力的。力強くもあり、ふくよかでもある演奏だったと思います。素晴らしいひとときでした。

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