2020-07

2019・10・15(火)ユーリ・テミルカーノフ指揮読売日本交響楽団

      サントリーホール  7時

 先週の見事な「バビ・ヤール」に続く今日の定期では、テミルカーノフは、シベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」と、チャイコフスキーの「第5交響曲」を指揮した。コンサートマスターは日下紗矢子。

 シベリウスの協奏曲のソリストはエマニュエル・チェクナヴォリアンという1995年ウィーン生まれの若手。あのアルメニアの指揮者ロリス・チェクナヴォリアン(ヤン?)の子息の由である。
 ロリスはダイナミックな、情熱的な音楽をつくる指揮者だという記憶があるのだが、このエマニュエルは父と違い、正反対に、極めて柔らかくあたたかい音色と表情で、ゆったりとした思索的なシベリウスをつくる。

 だが、━━もしかしたらこの極度に遅いテンポは、テミルカーノフのテンポではなかったろうか。24歳の若者が、こんなに沈潜したシベリウスをつくるわけはあるまい。テミルカーノフは、以前に読響で何人かのソリストと協演した際にも、いくらソリストが走り出そうとしても許さず意に介さず、悠々と流れる大河の如き不動のテンポで押し切ってしまう癖があったからだ。

 いずれにせよエマニュエルはよくそのテンポを守り切って、深味のある堂々たる演奏を聴かせてくれた。そして読響は翳りのある見事な音色で、頗る豪壮雄大にそのオーケストラ・パートを響かせた。特に第2楽章(アダージョ・ディ・モルト)での深々とした情感にあふれる演奏は、絶品、圧巻だったと申し上げよう。

 後半はチャイコフスキーの「5番」。第1楽章序奏でスコアの指定「アンダンテ」を遥かに下回るアダージョのテンポによる沈潜の演奏をつくったテミルカーノフは、第4楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェに至るや、ロシアの指揮者がよく採る猛速テンポよりは少し遅いテンポで、しかし熱狂的にオーケストラを終結へ駆り立てた。
 国内オケでも一、二を争う読響の馬力は、相変わらず物凄かった。弦の豊かな響きも強い印象を残す。

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