2019-11

2019・10・9(水)ユーリ・テミルカーノフ指揮読売日本交響楽団

      サントリーホール  7時

 昨年11月のサンクトペテルブルク・フィル日本公演の際には健康を損ねて来日できなかったテミルカーノフだが、今回は元気で顔を見せてくれたのは何よりだった。

 今回は、昨年2月以来の読響客演である。その最初の演奏会は、ハイドンの「交響曲第94番《驚愕⦆》と、ショスタコーヴィチの「交響曲第13番《バビ・ヤール》」というプログラム。後者での協演はバスのピョートル・ミグノフと新国立劇場合唱団(指揮・冨平恭平)。コンサートマスターは日下紗矢子。

 弦の編成を大きくし、かつ明晰なリズム感を以って演奏した「驚愕」もちろん良かったけれど、やはり圧巻は「バビ・ヤール」だ。
 テミルカーノフの指揮は昔と違い、あまり音楽の表情を過多にせず、むしろ率直に音楽を構築して行く手法だが、この曲にあふれる暗黒的な物凄さを充分すぎるほどに表出していたと思う。読響も陰翳に富んだ厚みのある音を響かせ、特に低弦群の不気味な表情は印象的だった。

 たった一つ、第2楽章(ユーモア)での極度に速いテンポが、剛直なリズムや音楽の細部を曖昧にしてしまい、ちょっと雑な印象を生んでしまっていたことを除けば、テミルカーノフと読響がこれまで演奏して来たショスタコーヴィチの「第7番」や「第10番」に勝るとも劣らぬ快演だったと言ってよかろう。
 ソリストのピョートル・リグノフ(サンクトペテルブルク音楽院卒、ボリショイ劇場などで活躍)は、あまり重くない、暗くない声だが、力のある声だった。新国立劇場合唱団も強靭な歌を聞かせてくれていた。日本語字幕(一柳富美子訳)がついていたのも有難い。

 ショスタコーヴィチが詩人エフトシェンコの詩により、ロシアのユダヤ人問題に関して公然と国家体制に牙を剝いた交響曲━━それを原典版による見事な演奏で聴けたことは嬉しい。

コメント

訳もよかった

後半の13番では独特の空気感が漂い、各楽章、情景が思い浮かぶかのようでした。もっと単純に、音の迫力に圧倒されるかと思っていましたが、息を呑むような緊張感。真剣なひとときでした。
演奏に集中するため字幕にはあまり目を向けないつもりだったのですが、WebやCDで接した日本語訳と違っていて、より動的というか臨場感が増すように構成されており、引き込まれるものがあったので、予定外に結構見ました。
テミルカーノフ、9月は欧州ツアーの一部キャンセルもあり心配しましたが、予定通り来日が叶いよかった。東条先生の寄稿(いずれ読響Webにもアップロードされますね)もじっくり読ませていただきました。

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