2019-11

2019・10・6(日)ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団 「グレの歌」

      ミューザ川崎シンフォニーホール  3時

 ミューザ川崎シンフォニーホール開館15周年を記念しての「グレの歌」。

 今年3月のカンブルランと読響、4月の大野と都響のそれが各1回の公演だったのに対し、このノットと東京響が2回公演だったのは、主宰がミューザ川崎だったからこそであろう。2日目の今日は満席とは行かなかったが、それでも一応見劣りしない程度の客を集めていたことは、当節大したものだという気がする。

 今日の声楽陣は、トルステン・ケール(ヴァルデマール)、ドロテア・レッシュマン(トーヴェ)、オッカ・フォン・デア・ダムラウ(山鳩)、アルベルト・ドーメン(農夫)、ノルベルト・エルンスト(道化師クラウス)、トーマス・アレン(語り手)、東響コーラス(指揮・冨平恭平)。コンサートマスターは水谷晃。

 歌手陣についていえば、今回もすこぶる豪華な顔ぶれが揃っていたと思う。
 特にヴァルデマール役のトルステン・ケールは、読響公演でのロバート・ディーン・スミスや都響公演でのクリスティアン・フォイクトに比べ、ヘルデン・テノールとしての性格がいっそう強力なので、役に相応しい。ただし声が聞こえにくいのは、これは彼の所為ではなく、作曲者のオーケストレーション━━管弦楽編成の音色と大音量━━に問題があるからで、歌手には何とも気の毒というほかはない。

 女声歌手2人は文句なしの表現力であり、レッシュマンの巧さ、デア・ダムラウのパワーは、いずれも見事なものであった。農夫役にドーメンとは随分贅沢なものだったが、彼も些かトシを取ったな、という感はあるだろう。
 しかし同じ「齢を取ったな」でも、トーマス・アレンの貫録と巧味は流石で、歌は歌わないのに最後を独りで決めてしまった、という雰囲気である。

 ステージいっぱいに、ぎっしりと詰まったオーケストラは壮観だ。ノットの緻密で切れのいい制御のもと、編成の拡大された東京響は波打ち、轟々と鳴り響く。弱音の個所はロマン派的な豊麗さにも富み、声部も微細に交錯して美しいが、最強奏の個所ではやや硬質になり、怒号という感じになってしまうのは些か惜しい。
 ノットのこの作品へのアプローチの軸足は、後期ロマン派には近いものの、むしろ20世紀初頭のマーラーやR・シュトラウスの立ち位置から見たロマン派━━といったものに置かれているように思われる。

 演奏が終ったあと、オーケストラが引き上げてからも、ノットと歌手たちは鳴りやまぬ拍手に呼び出され、それは2回も繰り返された。

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