2019-08

2019・7・18(木)チョン・ミョンフン指揮東京フィルハーモニー交響楽団

     サントリーホール  7時

 名誉音楽監督チョン・ミョンフンの指揮で、シベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」(ソリストはクリステル・リー)と、ドヴォルジャークの「新世界交響曲」。コンサートマスターは三浦章宏。

 在京オーケストラが定期公演で「新世界」を取り上げるケースは、近年では比較的珍しいだろう。だが、さすがはチョン・ミョンフン、並みの「新世界」とは違う演奏を東京フィルから引き出した。
 といって、特に奇を衒ったような演奏ではない。それよりも、スコアの隅々まで神経を行き届かせ、内声部の全てを明確に響かせて、ドヴォルジャークがいかに緻密な管弦楽法で美しい郷愁を描き出しているかを私たちに再認識させてくれるのである。ルーティンな演奏で片づけられた場合には埋もれてしまうような「内側」のフシに、こんな素敵なものがあったのか、と作品を見直させるような演奏に出逢うのは愉しい。

 コール・アングレが綿々と吹くラルゴの主題も、殊の外情感に満ちていたし、終楽章のクライマックスも壮絶な力感に溢れていた。最強奏の際の音色は、必ずしも美しいとは言えなかったが、まあいいだろう。
 全曲が終ったあと、私の後ろの席に座っていた男性客が「凄いな、これ」と呟く声が聞こえたのも印象的だった。

 それに先立つシベリウスでのコンチェルトでは、チョン・ミョンフンは、冒頭からほとんど聞こえないほどの最弱音と遅いテンポで、ミステリアスに開始。全曲にわたりデュナミークとテンポの起伏も大きく、スケールの大きな構築だったが、ソリストのリーもこれに呼応して、かなり濃厚な表情のカンタービレを利かせて行った。

 この女性、カナダ系米国人とプログラム冊子にあるが、もともとは韓国系だそうである。2015年シベリウス国際コンクールで北米出身者としては初の優勝者の由。チョン・キョンファにも師事したそうで、演奏を聴くと、なるほどと思わされるところもないではない。 
 アンコールで弾いたバッハの「無伴奏パルティータ第3番」の「ガヴォット」も、かなり濃い叙情性を優先させていた。今どきバリバリ弾くタイプではなさそうなので、ちょっと面白そうなヴァイオリニストではある。

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