2021-06

2019年(平成31年)4月30日(火)
パーヴォ・ヤルヴィ指揮エストニア・フェスティバル管弦楽団

       サントリーホール  2時

 パーヴォ・ヤルヴィ自身の提唱により、夏のパルヌ音楽祭のレジデンス・オーケストラとして2011年に組織された団体の由。すこぶる優秀な楽団である。
 パーヴォはその音楽監督のポストに在るが、彼はN響の首席指揮者やドイツ・カンマーフィルの音楽監督を務める他、今秋からはチューリヒ・トーンハレ管の首席指揮者にもなるというのだから、忙しい身だ。

 この日のプログラムは、最初にアルヴォ・ペルトの「ベンジャミン・ブリテンへの追悼楽」という短い作品で、鐘の音を伴った弦楽器群が美しく歌う。2曲目はシベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」で、ソリストは五嶋みどりだから、これはもう異論の余地のない演奏だ。
 休憩のあとは、エリッキ=スヴェン・トゥールの「テンペストの呪文」(日本初演)という曲で、演奏時間4分ほどの短いものだが激烈な曲想に溢れている。あまり面白い曲とは言えないけれども、先ほどのペルトのミステリアスな音楽のあとでは、2人のエストニアの作曲家の対照的な性格が如実に感じられて、興味深い。

 最後の曲目、シベリウスの「交響曲第2番」は、冒頭の弦の響きからして、あたたかい。このところ冷徹明晰なシベリウスばかり聞かされていたので、とりわけ今日の演奏はヒューマンなものに感じられた。だがそれは、決して穏やかさなどといったものではなく、柔らかい響きを保ちつつも、完璧なアンサンブルを以って引き締められた確固たる構築による演奏なのである。
 パーヴォの「持って行き方」も巧い。劇的なクレッシェンド(第2楽章の終結個所、あるいは第4楽章の第1主題に先立つ個所など)、内声部の大きな起伏(第3楽章緩徐個所でのオーボエの主題の下で歌うチェロ)など━━。
 全曲の大詰では、全合奏の和音を一つずつ大きく間を空け、その間をティンパニの強烈なトレモロで繋ぐという手法を採る。これほど見事な構築の「2番」は、滅多に聴いたことがない。この指揮者とオケのコンビの優れた力を存分に示した演奏であった。

 なお、五嶋みどりのソロ・アンコールはバッハの「無伴奏ソナタ第3番」からの「ラルゴ」、オーケストラのアンコールは、レポ・スメラの「スプリング・フライ」と、アルヴェーンの「羊飼いの娘の踊り」だった。終演は4時半頃になった。
   別稿 モーストリー・クラシック7月号 公演Reviews

コメント

大阪で拝聴しました

大阪での同プログラムを拝聴しました。プレ.イベントもあって得した気分です。ペルト、トゥールの2曲も対比すると面白かったです。五嶋みどりさんの演奏はお見事でした。そして、シベリウス交響曲第2番。これも素晴らしかったです。私も弦のあたたかさを感じました。完璧なアンサンブルだったと思います。パーヴオ.ヤルヴィさんとの相性も良かった。拝聴出来て嬉しかったです。

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