2019-05

2019・4・19(金)ピエタリ・インキネン指揮日本フィル

     サントリーホール  7時

 欧州ツアーから帰国したばかりのインキネンと日本フィルの定期。
 武満徹の「弦楽のためのレクイエム」、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第3番」(ソリストはジョン・リル)、シベリウスの「交響曲第2番」。コンサートマスターは扇谷泰朋。

 欧州への演奏旅行を行なうと、演奏も音も良くなって帰って来るのが日本のオーケストラの常だが、日本フィルもその例に漏れぬ。
 「弦楽のためのレクイエム」で弦楽器群が静かに響かせた透明清澄な音色の美しさなど、昔の日本フィルからは想像も出来なかった境地ではなかろうか? 
 インキネンの指揮もいい。概して外国人指揮者がタケミツを振ると、よく言えばメリハリの強い、些か批判的に言えばごつごつした岩のような雰囲気の音楽になるものだが、インキネンも日本フィルとの交流を通じて武満の世界により近づいたのか、明晰で隈取りのはっきりした音の交錯の中にも、いわゆる武満トーンが━━われわれ日本人が本能的に感じ取れるもの、とでもいうか━━生き生きと蘇っているのだった。

 ベートーヴェンも、第1楽章提示部からして、厚みのある毅然とした響きの演奏が印象的だ。インキネンと日本フィルが、これだけどっしりとした、落ち着いてスケールの大きな、かつ緻密な響きを出すという、幅広い個性を持つに至ったのは嬉しい。ジョン・リルは流石に年齢を重ねたなという感だったが、味わいはある。

 これらの音は、シベリウスの「2番」では、非常に鋭角的なものに一変した。非常に遅いテンポで、一つ一つの音を力感一杯に演奏する。豪壮というよりはやや細身で、しかも全身ハリネズミのように武装して身構えたシベリウス。
 そもそもインキネンのシベリウスは、北欧の奥深い霧の中から響いて来るようなシベリウスとは対極的な位置にあることは以前から承知はしていたが、今日の演奏を聴くと、それがますます先鋭化してきたようにも感じられる。こういうアプローチのシベリウスも興味深いが、その鋭い音の構築には些か疲れたのもたしかで━━。

 いずれにせよ、インキネンと日本フィル、今回のツアーを一つのステップにして、さらに新しい境地を開きつつあるようだ。今後どんな音楽を聴かせてくれるのか、大いに楽しみなところである。

コメント

20日に聴きました。武満は感情を込めて演奏され、ベートーヴェンは冒頭の出だしから、雄渾な音楽でした。シベリウスはVnの音が艶っぽく響き、木管・金管のソロも冴えていました。演奏会から、熱い感動と勇気をもらった気持ちになりました。
1978年のアケ先生の「復活」音楽監督就任のときの、嬉しい感動が蘇りました。

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