2019-08

2019・4・9(火)ジョナサン・ノット指揮スイス・ロマンド管弦楽団

      サントリーホール  7時

 前回スイス・ロマンド管を聴いたのは、首席客演指揮者時代の山田和樹と来日した2014年のことだったか? 
 今回は、2017年1月から音楽&芸術監督を務めるジョナサン・ノットとの来日。日本公演の初日は、第1部にドビュッシーの「遊戯」と「ピアノと管弦楽のための幻想曲」(ソリストはジャン=フレデリック・ヌーブルジェ)、第2部にストラヴィンスキーの「3楽章の交響曲」と、デュカスの「魔法使いの弟子」という、ちょっとユニークなプログラムだ。

 ノットとスイス・ロマンドの組み合わせは、大いに興味の湧くところだったが、両者の相性は、予想以上に良いように感じられる。少なくとも、以前のバンベルク響首席時代と比較すると、今日のノットは、まるで水を得た魚のようである。

 特にフランスの作品では、━━そういえば、彼が日本で音楽監督を務めている東京響との演奏で、現代作品における彼の指揮が素晴らしいことは承知しているが、フランスものは、これまでさほど印象に残っていなかった。
 だが今日のドビュッシーの作品での清澄さ、優美な叙情と官能、和声の明晰な美しさなどは、私にはうっとりさせられるような演奏に感じられたのである。管の最強奏には少し硬さが感じられたけれども、全体としては、ドビュッシーの良さを存分に再現してくれていたと言っていいだろう。

 そしてまた、ストラヴィンスキーの「3楽章の交響曲」をこれほど「冷徹」でなく、開放的で明るい躍動感を漲らせた演奏で聴いたのは、私は初めてかもしれない。「春の祭典」を新古典主義スタイルに化けさせるとこういう音楽になるのか、などと感じさせるようなノットの表現であった。

 「魔法使いの弟子」のような「小品」を最後に置くというのは、昔の指揮者のプログラムでは、時々見たことがある。だが小品とはいえども、ドビュッシーやラヴェルや、その後の「フランス6人組」にも大きな影響を与えたと指摘される、音楽史的にも重要な作品だ。聴きごたえがある。
 ノットは、この小品においても獅子奮迅の身振りで、忙しく大暴れしながらオーケストラを制御した。そのわりには、それほど劇的で大がかりな音響にはならなかったが、なかなかに華麗な演奏だった。

 アンコールにリゲティの「ルーマニア協奏曲」の第4楽章を持って来て、猛烈に派手に結んだのも面白い。・・・・が、この曲、以前にもどこかのオケがアンコールで演奏していたな、と思って日記を繰ってみたら、2014年にヤンソンスとバイエルン放送響が、2015年にグスターヴォ・ヒメノとコンセルトヘボウ管がやっていた。だが今日の演奏は、ユーモア感でも充分のものがあったのではないだろうか。コンサートマスターの腕の見せどころである。

 ノットも良かったが、スイス・ロマンド管の演奏にも、張り切った良さがあった。これは、この半世紀の間にナマで聴いたこのオケの演奏の中でも━━その中にはアンセルメが指揮した初来日公演もあったが━━最も爽快で、面白いものだった、と言っていいほどである。

 なお、ヌーブルジェのソロ・アンコールは、多分ドビュッシーかと予想したら、そうではなく、ショパンの「前奏曲」の「第8番」と「第17番」とを組み合わせたものだった。これも好かった。

コメント

大阪で拝聴しました

アジアツアー千秋楽の大阪でのプログラムは、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲と、マーラーの交響曲第6番[悲劇的]でした。ヴァイオリン協奏曲のソリストは、辻彩奈さん。とても情感のこもった演奏だったと思います。ジョナサン.ノットさんの指揮もお見事でした。このオケととても相性があっているのでしょうね。素晴らしいひととき。嬉しかったです。

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