2019-08

2019・3・29(金)伊藤悠貴チェロ・リサイタル

      紀尾井ホール  7時

 伊藤悠貴(29歳)は、私も審査員の一人として関係している「齋藤秀雄メモリアル基金賞」で、つい先頃受賞に輝いた注目の新星である。

 その彼が、ラフマニノフの作品ばかりを集めたユニークで意欲的なリサイタルを行なった。プログラムは、第1部が「2つの小品 作品2」、「幻想的小品集作品3」から「エレジー」「メロディー」「セレナーデ」、「前奏曲作品23の10」、「ロマンス」、「6つの歌曲━━朝、夜のしじま、リラの花、ここは素晴らしい、夢、春の水」、第2部が「チェロとピアノのためのソナタ作品19」というものだった。
 「作品3」のうちの2曲、および「歌曲」の6曲は、伊藤悠貴自身が編曲したものとのこと(プログラム冊子にも自らいい文章で解説を書いているし、多才な人だ)。

 この「ラフマニノフ・プログラム」は、昨年、ロンドンのウィグモア・ホールでも演奏したそうである。この作曲家への彼の強い思い入れを示すものだろう。
 その共感に裏打ちされた演奏は、まさしく伸びやかな表情、瑞々しい情感、明晰な音色、闊達な力に満たされていた。「ソナタ」が、一般の演奏によくあるような暗い陰翳とか物々しさといったものにとらわれず、かくも若々しい気宇にあふれた演奏で再現されたのを聴いたことは、これまでになかった。若さの特権というものだろう。

 協演の藤田真央(20歳)がまたとてつもなく素晴らしい。若手2人の見事な演奏会だった。わが国の音楽界の将来を託するにふさわしい俊英の活躍を慶びたい。

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