2019-05

2019・3・26(火)新国立劇場 マスネ「ウェルテル」

      新国立劇場オペラパレス  2時

 2016年4月にプレミエされたニコラ・ジョエル演出のプロダクションで、落ち着いた良い舞台だ。
 今回の上演の指揮はポール・ダニエル。声楽陣はウェルテルをサイミール・ピルグ、シャルロットを藤村実穂子、アルベールを黒田博、ソフィーを幸田浩子、大法官を伊藤貴之、シュミットを糸賀修平、ジョアンを駒田敏章、ブリューマンを寺田宗永、ケッチェンを肥沼諒子、新国立劇場合唱団、児童合唱が多摩ファミリーシンガーズ。管弦楽が東京交響楽団。

 演出に関してはプレミエ時(2016年4月6日の項)と基本的には同じ印象ゆえに詳細は省く。第3幕におけるアルベールとシャルロット夫妻の諍いの描写が前回よりは少し明快になったような気もするけれど━━定かではない。
 アルベールには黒田博が、ふだんの彼とは別人のようなメイクで、穏やかで落ち着いた役柄として演じていた。

 そして、藤村実穂子のシャルロットが素晴らしい。イメージからすると合致しないのではないか、と思われるようなキャラの組み合わせではあったが、さすが藤村さん、見事なものであった。前回のエレーナ・マクシモア演じるシャルロットが控えめで受け身な女性のイメージだったのに対し、藤村実穂子のシャルロットは、おとなで、分別があり、それが感情を抑えきれなくなるという矛盾をはらんだ女性として描き出されるのである。
 ともあれ、彼女が歌い始めると、舞台上のすべてのものが、彼女一人に集中してしまうほどだ。かつてはバイロイトのヴァルトラウテ役で劇場の空気をビリビリと震わせたほどの彼女の声も、最近はかなり柔らかくなって来たような気がする。

 ポール・ダニエルの指揮も、詩的な雰囲気を備えて、なかなか良い。東京響も悪くなかったが、ヴァイオリン群の音に厚みさえ出ていれば、とそれがいつも惜しまれる。

コメント

 内容的に、東条先生のご意見に賛成です。個人的にはソフィー役の幸田浩子さんが、歌唱だけでなく動き、人物像の表現といった観点からも、いい持ち味を出していたように思いました。男性陣も黒田さん、伊藤さんが同様に、よく持ち味を出していたように思いました。

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