2019-07

2019・3・23(土)シルヴァン・カンブルラン指揮読売日本交響楽団

      東京芸術劇場 コンサートホール  2時

 カンブルランの常任指揮者時代を締め括る一連の演奏会の、これが最終のコンサート。ただし2回公演の、今日は初日。
 ベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」序曲と「幻想交響曲」の間に、ピエール=ロラン・エマールをソリストにしたベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」というプログラム。

 コンチェルトは、毅然として揺るぎのない風格を湛え、古典の名作としての威容を示す演奏となった。瑞々しくも整然たるアプローチを続けていたエマールが、最後の最後に至って下行音型を猛烈なフォルティシモで轟かせて大見得を切ったのが何とも愉快だった。

 「ベアトリスとベネディクト」序曲は、ベルリオーズの数ある序曲の中では最もポピュラーではない曲だが、管弦楽法は晩年の円熟を示して精緻な色合いに富んでいるだろう。だが、カンブルランが率いる好調の読響の演奏は、彼の初期の「幻想交響曲」における管弦楽法をも、後期のそれと同等の色彩感を漲らせて響かせる。
 もっとも演奏そのものは、意外なほどに古典的な端整さを保ち、豪壮な音響ではあるものの決して狂乱には陥らない。そういえば、彼のベルリオーズは━━20年ほど前、ジェラール・モルティエが采配を振るっていた時代のザルツブルク音楽祭で彼が指揮した「ファウストの劫罰」や「トロイ人たち」などでも、品が良すぎるほど節度を保った演奏だったことを思い出した。

 告別の「幻想交響曲」にしては些か端然とした終結ではあったものの、カンブルランの本領を堪能するには充分の演奏だったであろう。

※この日はかように真面目に演奏会が終ったものの、翌日(最終日)はカーテンコールで「天国と地獄」序曲を演奏し、カンブルランをはじめ皆が賑やかに踊ったそうですね。そういう解放的なお別れもいいかもしれない。
 かつて若杉弘が都響の音楽監督のポストから去る時、数人の聴衆が客席に「WAKASUGI、COME BACK!」と書いた横断幕をぶら下げ、皆をジンとさせた、という話を聞いたことがある。そのような、聴衆の自発的な感激の行動もいいかと思うが━━。

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