2019-05

2019・3・22(金)グスターボ・ドゥダメル指揮ロサンゼルス・フィル

     サントリーホール 7時

 今回のアジア・ツアーは、ソウルで3回、東京で3回というスケジュールの由。ツアー・プログラムには、ここにもマーラーの「巨人」が入っている。ただし今日聴いたのは、同じマーラーでも「交響曲第9番」の方。

 このコンビ、前回の来日でマーラーの「第6番《悲劇的》」を演奏していた(2015年3月28日の項)が、今日の「9番」の演奏における印象も、その時とほぼ同じといってよい。壮麗で濃厚で、しかも輝きのある響きと音色は、現在のドゥダメルとロス・フィルの身上であろう。
 マーラーの「第9」に輝きなどがあっていいのか━━という考え方ももちろんあるが、この場合の輝きとは、華美とか華麗とかいう意味とは全く異なるもので、全曲にわたり青年の若々しい人生肯定的な息吹が根底に流れていることを感じさせる、という意味である。

 中間2楽章の演奏にあふれる荒々しさは、ヒステリックな精神の苛立ちではなく、まっすぐで闊達なエネルギー感だ。そして両端楽章での演奏にも、人生の終りに近づいた者の諦念などではなく、なお「生」への希望を滲ませた安息感━━とでもいったものが感じ取れるのである。今日の第4楽章の終結部の演奏などには、「無」への旅立ちではなく、彼方の「生」を感じさせる「光」への旅の始まり━━が聴き取れるのではなかろうか? 
 どうも勝手な、観念的な独りよがりを言っているみたいで申し訳ないのだが、マーラーの「第9」に、こうしたイメージをもたらしてくれるドゥダメルの若さは羨ましいものだとつくづく感じてしまった、というのが正直なところなのである。

 ロス・フィルの音も、エサ=ペッカ・サロネンが音楽監督だった時代に比べ、随分変貌したものだと思う。それはむしろ、50年前に気鋭のズービン・メータが音楽監督を務めていた時代の音を思い起こさせる(1969年に来日した時がそうだった)が、それよりは少し荒っぽいかもしれない。だが演奏の水準は相変わらず高いものがある。この楽団を楽々と制御するドゥダメルは、未だ38歳の指揮者だ。

コメント

マーラー第九はコンドラシン/モスクワフィルの日本初演1967以来、朝比奈/大フィル。バーンシュタイン/イスラエルフィル他最近では飯森/センチュリーでも聞いている愛好の曲なのだが昨年の身内の不幸があり特に終楽章は聞くことができない。肯定的な解釈もありと思うけれども。飯森、ドゥダメルがそのようですが。

ドゥダメルのマーラー

全体を通してボリュームのある音で、とくに2楽章はあれだけの音が聴けて満足でしたが、一方でテンポを落とす箇所、弱音の箇所などは、もう少しその"こころ"が伝わる演奏が欲しいと思いました。最後ももう終わってしまうとは思えず、普段感じるぞっとするような静謐な空気は、あまり感じませんでした。
2012年のロスフィルとの録音と、方向性は変わらないと思うのですが、それでもライヴならではの音の体感に加え、渾身の力をこめた指揮に、CDよりは彼の意図するところを感じることができ、なかなか面白く聴けました…9番を聴いて"面白い"というのもおかしい気もしますが、せっかくの演奏ですから前向きにとらえたいと思います。
マーラーの9番、CDでは最近出たノセダやネトピルなども聴き、以前よりもいろいろなとらえかたができるようになってきたつもりですが、ドゥダメルはやっぱり、とりわけ若い、というか、明るいのでしょうね。

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