2019-07

2019・3・21(木)プレトニョフ指揮東京フィルハーモニー交響楽団

      Bunkamuraオーチャードホール  3時

 第1部がチャイコフスキーの「スラヴ行進曲」と「ヴァイオリン協奏曲」(ソロはユーチン・ツェン)、第2部がハチャトゥリアンの「スパルタクス」からの「アダージョ」と「交響曲第3番《交響詩曲》」。名曲と珍曲(?)とを巧く組み合わせたプログラムである。

 聴き慣れた「スラヴ行進曲」も、ミハイル・プレトニョフの手にかかると、最初の主題などは打ち沈んだ哀愁を帯びたものになり、この曲が決して単なる騒々しい機会音楽などではないことを再認識させてくれる。「協奏曲」では、台湾出身の、日の出の勢いにある若手ユーチン・ツェンが登場、均整のとれた真摯で生真面目なソロを披露した。

 後半のハチャトゥリアン2曲における物々しい豪壮な色彩感は、まさにロシアの指揮者ならではのおおわざだろう。
 「スパルタクス」の「アダージョ」で、オーケストラのトゥッティの高鳴りの上にひと際高くトランペットのソロを、それも甘く官能的な色合いを以って浮き出させるあたり、プレトニョフもなかなかの芝居巧者ではなかろうか。

 そして今日の極め付きは━━ステージ後方最上段にずらりと並んだ15本(!)のトランペットのバンダが一斉に咆哮し、オルガンの轟音が渦巻く「交響詩曲」である。
 これは耳を聾する騒々しい珍曲ではあったが、当時のソビエト革命30周年記念のための祝典音楽としては、それなりの意味を持っていたことだろう。あのヤナーチェクの金管群のファンファーレが活躍する「シンフォニエッタ」と同様の祝典性を感じさせるが、しかしこちらの「交響詩曲」の方は、もっと力任せで、威圧的である。
 とはいえこのトランペット群が吹き鳴らすさまざまなモティーフは、ある時にはジョン・バリーの映画音楽に似ていたり、「ロッキーのテーマ」のようだったり、「古畑任三郎」の中の「犯罪のモティーフ」を連想させたりする、結構楽しいものであった。演奏時間は30分近く、終りそうでいてなかなか終わらない、意外に長い曲だった。

 アンコールには「仮面舞踏会」からの「ワルツ」が演奏され、ここでやっと私たちに馴染みのハチャトゥリアンが再び姿を現してくれた。
 コンサートマスターは依田真宣。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」