2019-05

2019・3・7(木)シルヴァン・カンブルラン指揮読売日本交響楽団

     サントリーホール  7時

 読響を指揮して多くの名演を残したカンブルランの常任指揮者としての任期も、ついに今月いっぱいとなってしまった。今月は4種のプログラムの演奏会が組まれているが、この日はその最初のもので、前半がイベールの、後半がドビュッシーの作品による「名曲シリーズ」である。

 イベールの2曲は、「寄港地」と、サラ・ルヴィオンをソリストに迎えての「フルート協奏曲」。
 前者はやや落ち着かない雰囲気の演奏ではあったものの、読響の各パートの腕達者ぶりが発揮され、後者はルヴィオンの実にまろやかで温かいソロが際立って、いずれも快い印象を残してくれた。ルヴィオンがアンコールで吹いたドビュッシーの「シランクス」も、これだけフルートという楽器の持つ音色のあたたかさと言ったものを感じさせてくれた演奏は稀であろう。

 後半のドビュッシーは、最後に「海」が置かれ、これは壮大な音の饗宴とでもいうべきものだったが、その前に演奏されたハンス・ツェンダー編曲による「前奏曲集」5曲(帆、パックの踊り、風変わりなラヴィーヌ将軍、雪の上の足跡、アナカプリの丘)が度外れて奇怪で、面白かった。
 ツェンダーの編曲と言えば、もう随分前にシューベルトの「冬の旅」のCDを聴いて、肝を潰したり、感心したりしたものだが、今回のドビュッシーの「前奏曲集」でもツェンダーは、原曲のイメージを叩き潰したような大胆で傍若無人な、かつ痛快無類な管弦楽編曲版を私たちの前に突きつけてくれた。オーソドックスなプログラムの中にこういう曲を挟んだところに、企画者と指揮者のセンスの佳さも窺えるだろう。
 コンサートマスターは長原幸太。

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