2019-02

2019・2・8(金)飯守泰次郎指揮仙台フィルハーモニー管弦楽団

      日立システムズホール仙台・コンサートホール  7時

 午後、「はやぶさ」で仙台に入る。さすがに凛冽たる寒さである。仙台駅から地下鉄・南北線でわずか10分、旭ヶ丘駅で降りればホールは目の前。「日立システムズホール仙台」とは、以前は「仙台市青年文化センター」と呼ばれていた会場である。

 これは仙台フィルの第325回定期演奏会の、2日公演のうちの初日。
 昨年4月から常任指揮者に迎えられている飯守泰次郎が指揮している。
 独墺系レパートリーを十八番とする飯守は、以前の客演時代も含め、自らの指揮する定期演奏会のプログラムの大半をベートーヴェン、ワーグナー、ブラームス、モーツァルトなどの作品でまとめているが、ごく稀に「新世界交響曲」や、細川俊夫の「開花Ⅱ」といった作品をも交えている。
 この日は後半にシューベルトの交響曲「ザ・グレイト」を置き、前半には珍しくもショスタコーヴィチの「チェロ協奏曲第1番」を演奏する、という面白いプログラムを指揮していた。
 コンサートマスターは神谷未穂。

 協奏曲でソリストを務めた堤剛が、ショスタコーヴィチのこの協奏曲を、柔らかくまろやかな音色で、叙情的な性格に重点を置くかのように演奏していたのが興味深い。不気味な不安感の表出こそなかったとはいえ、リズミカルな要素も、長いカデンツァにおける緊迫感も失われてはいない。飯守と仙台フィルも、それに呼応して穏やかなサポートをつくり出していた。

 それにしても、最近の堤剛の演奏は、特に楽器の鳴りが昔よりも良くなったのではないかという気がする。この協奏曲でもそうだったが、アンコールで弾いたバッハの「無伴奏チェロ組曲第3番」からの「ブーレ」での、聴き手を包み込むような大きな温かいチェロの響きは、ハッとさせられたほど美しかった。

 「ザ・グレイト」では、飯守はスコアに指定されているリピートをすべて遵守していたが、テンポを速めに設定していたために、演奏時間が長くなるというほどでもなく、気分的にも長さを感じさせるということもない。鋭いメリハリをつくり、随所の音符に細かいクレッシェンドやアクセントを付加して表情の豊かさをつくり出していたのも彼らしい。仙台フィルもこの指揮に細かく反応していた。

 第1楽章の前半ではオーケストラも未だ生硬だったが、同楽章展開部あたりからはアンサンブルもまとまりを示すようになり、楽章が進むに従って演奏の密度も高まった。特に第4楽章では飯守の巧みな煽りに応えて、見事なクライマックスを築き上げて行った。翌日の2日目は、おそらく冒頭から飛ばせるだろう。
 ━━ヴェロからフランス系の洒落たセンスを叩き込まれた仙台フィルが、今度は独墺系レパートリー嗜好の飯守の下でどのような個性をつくるようになるかを見守りたいところだ。
    →(別稿)モーストリー・クラシック4月号 オーケストラ新聞

コメント

私も同日の演奏会に行きました。飯守さんのシューベルトを東京で聴いたことがなかったためです。
前半は、私のイメージにあるとげとげしいというか狂気的なショスタコーヴィチではなく、少々物足りなさも感じていましたが、堤さんのアンコールのバッハでは目を閉じたまま天を仰ぎ、やさしくふりそそぐ音楽に身を委ねていました。
「ザ・グレート」の延々に続くのかと錯覚しつつも、時間が過ぎ去っていく不思議な感覚も心地よかった。
飯守さんの指揮による上演ではない初台でのタンホイザーに満足できなかった代わりに、1月に聴いた飯守さんのブラームス、トリスタンとイゾルデに続き、私にとって大満足の演奏会となりました。

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