2021-06

2019・1・24(木)ヤン・パスカル・トルトゥリエ指揮新日本フィル

      サントリーホール  7時

 モーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」序曲、ショパンの「ピアノ協奏曲第2番」(ソロはクシシュトフ・ヤブウォンスキ)、チャイコフスキーの「交響曲第1番《冬の日の幻想》」。

 最初の序曲、新日本フィルが綺麗な音を出している。中型の編成ながら、たっぷりと厚みのある響きで、澄んだ美しさが好ましい。

 続くショパンのコンチェルトでは、ヤブウォンスキが━━先日のリサイタルの時よりはかなり強いアクセントを持つ演奏だったが━━やはりオーソドックスなスタイルで、安定した穏健なソロを聴かせてくれた。この人の演奏、決して悪くはないのだが、もう少し刺激的な(?)要素が欲しい気もする。ソロ・アンコールでの「革命のエチュード」にも同様のことが言えようか。

 「冬の日の幻想」は━━非常に主観的な問題になるけれども、冬のロシアの思い出は私には強烈で、それはモスクワとサンクトペテルブルクだけのほんの2都市だけの思い出に過ぎぬとはいえ、チャイコフスキーのこの曲を聴くと、常にあの冬のロシアの光景がまざまざと脳裏に蘇って来るのである。だが、今日のこのトルトゥリエと新日本フィルの演奏を聴くと、どうもそういうイメージが全く浮かんで来ないのだ・・・・。

 だからこの演奏は悪いと言っているのではない。演奏には、それぞれ「お国柄」というものもあるだろう。

 ただ、第1楽章だけは思いのほか平板な演奏で、緊迫感を欠いた流れのため、かなりの不満を残した。幸いに第2楽章以降は、音楽のエネルギーも持ち直したようであり、特に第4楽章のコーダは、盛り上げという点では見事なものだった。

 今日のコンサートマスターは西江辰郎。

コメント

ヤン・パスカル・トルトゥリエ

お疲れ様です。
ポール・トルトゥリエのご子息と言うことで、期待して行った。
リズム感が良い。モーツァルトでは効果的だった。チャイコフスキーは、慎重に進められていたが、感服するには今一つ。この曲は、以前テミルカーノフで聴いた時も、バランスが悪くて今一つだった。結構曲想を捉えるのが難しい。新日本フィルは健闘。

 ヤブウォンスキ氏の演奏には、近年、来日のいくつかのオーケストラのような、あざとい表現や、やたらとヴィルトゥオーゾを強調する演奏とは全く異なる、曲の内容を掘り下げ、感傷的、寂寥感、憂愁…というようなイメージの芸術美まで深く我々に想像させる、味わい深さを随所に感じることができました。
 これはアンコールの「革命」にも言えることで、技巧や音量、速さを過度に強調させるのではなく、主旋律をどのように歌わせるか、あるいはこの曲の歴史的な背景をどのようにしたら我々聴衆に伝えることができるのか…など内容的な深さを感じることのできる演奏となっていたと思います。氏はおそらく、技巧だけを強調しようと思えば、おできになるのでしょうが、そうしたレベルに留まらない、はるかなる演奏の高みを目指しておられるのではないでしょうか。(実は、こうした曲の内容的な部分を掘り下げることを着実に目指している演奏家が東西、結構多いのがわが国、日本の特徴のように思いますし、そうした演奏家を私も応援したいと思っています。)
 また、「冬の日~」の方は東条先生、b、v、さんに同感ですが、この意外に難度も高いと思われるこの曲に、マエストロ、オーケストラ共々、興味深いチャレンジで、かなり高い満足度で会場を後にしました。ヤブウォンスキ氏もふくめ、共演の機会を待ち遠しく思う次第です。

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