2021-06

2019・1・22(火)尾高忠明指揮大阪フィル東京公演

    サントリーホール  7時

 武満徹の「トゥイル・バイ・トワイライト」、ブルッフの「ヴァイオリン協奏曲第1番」(ソロは神尾真由子)、エルガーの「交響曲第1番」というプログラムを引っ提げての東京公演。

 音楽監督・尾高の指揮による大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏は、すでにフェスティバルホールでも3回ほど聴いてはいるが、ここサントリーホールで聴くのは初めてになる。それゆえ━━最近とみに緻密なアンサンブルとなり、落ち着きのある安定した音になって来たこのオケが、こちらではどんな音を響かせるかも、私には大いに興味のあるところだった。

 まず何よりも最初の「トゥイル・バイ・トワイライト」の演奏が、実に素晴らしかった。寄せては返す波のように黄昏の輝きを繰り返しつつ次第に溶暗へ向かって行く音楽の流れが、かくもふくよかで多彩な音色の響きに満たされて再現されたこういう演奏は、めったに聴いたことがない。
 昔は「野武士」的なイメージのあった大阪フィルが、今はこのような繊細な演奏を聴かせてくれる。今夜のプログラムが、かりにこれ1曲だったとしても、満足感を以ってホールをあとにしただろう。

 ところが、2階センター席最前列に座っていた私の背後周辺は何とも静かなのである。振り返ってみると、僅かの人たちを除いて、ほとんど誰も拍手をしていない。黙って身動きもせず座っているだけなのだ。拍手をしているように見えても、実はおざなりに音を立てずに手を軽く動かしているだけである(これでは演奏者に称賛の音が聞こえないではないか)。
 はるか昔、未だ気の荒かった(?)時代の尾高さんが、時に聴衆が積極的な反応を示さなかった場合、「あなた方、どういうつもりで演奏会に来ているんですか、映画でも観に来たつもりでいるんですか、って言いたくなることがありますよね」と憤慨していたのが今でも記憶に強く残っているのだが、私の方はこのトシになっても未だに憤慨してしまうという妙な血気が残っているらしい。それでも、他のブロックからは盛んな拍手は聞こえていたが・・・・。

 ブルッフのコンチェルトでは、神尾真由子が官能的なほど表情の濃い旋律の歌わせ方で盛り上げてくれたため、アンコールの「カプリース24番」(パガニーニ)を含め、こちらは2階席からも相応の拍手が起こった。そして、尾高のスペシャルたるエルガーの「第1交響曲」でもその入魂の熱演と、熱心なファンのブラヴォーの歓声に釣られたか、これもある程度の反応が生れていた。

 それにしてもこのエルガーの交響曲は、まさに全身全霊をこめて音楽に没入する尾高の気魄といったものが如実に伝わって来るような快演だった。オーケストラの演奏にも、冷たく機械的な雰囲気など、全く無い。コンサートマスターは崔文洙。
 大阪フィル、好調なようである。5月定期にはデュトワを迎えるなど、企画にも面白い姿勢が窺われる。

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こんにちは。尾高さんの演奏は半年ほど前N響とのチャイコフスキー第5をTVで見ました。私でも聞き慣れたこの名曲を「やはり聴いて良かった」と唸らせる見事な血の通った演奏でした。
 尾高さんの若い頃のエピソードも面白いですね。お座なりな拍手というのは、演奏が良くなければ有り得るのかもしれませんが、音楽が好きなのか?心から欲しているのか?という気がします。或いはクラシック音楽を悪い意味で教養としてお行儀よく聴くだけの物と思っているのでしょうか? しかし他の曲ではまずまずの反応、武満の曲が難しかったですかね(笑)。

2階センター席にいたものです。
私は熱烈な拍手を送りましたが…とある企業さんのご招待でチケットを手に入れました。
私の担当さんは音楽が大好きな方で、歯がゆく思われることが多いのでしょうね。私をご招待いただいても、あまりご商売には結び付かないだろうと思うのですがよく誘ってくださり、終わってからの感想では熱い感激を共にします。
多分、そういうことです。素晴らしい演奏会でした。

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