2019-01

2019・1・7(月)ピエタリ・インキネン指揮プラハ交響楽団

      サントリーホール  7時

 このチェコの名門オケは、少なくともこの10年の間に、イルジー・コウト(2008年1月13日の項参照)、ズデニェク・マカル(2010年1月14日の項)、ピエタリ・インキネン(2016年1月18日の項)、ペトル・アルトリヒテル(2017年3月16日の項)ら、いろいろな指揮者と来日して、その都度異なる表情を聴かせてくれている。
 そのうち、2015年からこのプラハ響首席指揮者を務めているインキネンは、わが国では日本フィルの首席指揮者としておなじみだが、その他にも2017年秋からザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルの首席指揮者にもなっている。

 今日は、第1部では樫本大進をソリストにブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」が、第2部ではチャイコフスキーの「第5交響曲」が演奏された。
 ただし前半のアンコールで、樫本とインキネンがヴァイオリンのデュオを披露、バッハの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」の第2楽章をオケの数人のメンバーと一緒に演奏した上、チャイコフスキーのあとにもドヴォルジャークの「スラヴ舞曲」の「第10番」と「第8番」を演奏したので、終演は9時半近くになった。

 インキネンとプラハ響、あまり重くなく、引き締まった音で真摯に作品と取り組む演奏である。しっとりとして瑞々しい、端整な表情は、このコンビでの前回の来日の際に聴いたのと同じ特徴だ。
 ブラームスの協奏曲では樫本大進も伸びやかなカンタービレを効かせたが、彼もやはりベルリン・フィルのコンサートマスターらしく端整な傾向のソロなので、明るいが生真面目なブラームス像の再現とでもいう演奏になっていただろう。第2楽章のオーボエ・ソロ(女性奏者)は素朴な趣ながら、なかなか美しかった。

 一方、チャイコフスキーの交響曲でも、フォルティッシモは力感豊かながら決して威嚇的にならず、どこかに温かい雰囲気を感じさせる。
 チェコのオケと北欧人インキネンの若々しい気魄とがどう調和して、どのような良さが生れるか、という点にも注目したが、チェコのオーケストラ特有の素朴な落ち着いた味や、郷土的な色彩感といったものは、この演奏からはほとんど失われていた。とすれば、その代りに何が生れているかが最大の問題なのだが、厳しい見方かもしれないけれども、この演奏を聴いた範囲では、その辺はどうも未だよく判然としない。
 一方のインキネンにしても、むしろ指揮者に従順な日本のオーケストラ━━この場合は日本フィルだが━━の方に、彼の特質をストレートに反映させ得ているのではないかという気もする。

 ホルンの首席はちょっと変わった楽器の持ち方をし、「第5交響曲」第2楽章のソロをいとも楽々とダイナミックに吹き上げ、ティンパニ奏者はすこぶる芝居気のある身振りで、じわりと楽器を叩く。2人とも、演奏し終るとリズムに合わせ首を大きく振るなどして音楽に乗り、気合充分の様子を見せていた。

コメント

兵庫で拝聴しました

兵庫でのプログラムは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と、ドボルジャークの交響曲第9番[新世界より]でした。樫本大進さんのブラームスは、端正な仕上がりだったと思います。樫本さん、拝聴するたびに深化なさってるみたい。[新世界より]は、やはり地元オケ。とりわけ、弦が美しく響いてお見事でした。前半のアンコールでの、樫本さんと、ピエタリ.インキネンさんのデュオも、お見事でした。素晴らしい演奏だったと思います。

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