2021-06

2018・12・8(土)パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィル

      横浜みなとみらいホール  3時

 一昨日の教会でのトークを聴いた際に、教会特有の固いベンチに1時間近く座っていた所為か、あるいはそれに冷えが加わった所為か、昨日から腰痛が再発し、昨夜は寝返りも打てぬほどの激痛に悩まされた。そのため今日の昼には、ある素適な会食を棒に振る羽目になったが、午後には少し体調が回復して来たので、頑張って横浜までこの演奏会を聴きに行ってみる。

 パーヴォ・ヤルヴィとドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン(ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団)は、最近シューベルトの交響曲の演奏に力を入れ出したそうだ。ただし今回のツアーでは、全曲ツィクルスではなく、「第5番変ロ長調」と、「第8番ハ長調《ザ・グレイト》」が取り上げられた。それが今日のプログラムである。

「従来のロマン派寄りの美化された演奏スタイルではなく、むしろベートーヴェンの側からシューベルトの音楽にアプローチしたいと思っています」というのが、公演チラシに印刷されているパーヴォ・ヤルヴィのコメントであった。
 これは、言葉通りの簡単な解釈で片づけられる類の問題ではないけれども、ともあれ彼のコメントに基づき、例えば古典派音楽の流れを汲む端整な、優れた形式性を重視する厳密な構築が当て嵌められたシューベルトの音楽━━という解釈に立てば、今日の演奏はそのコメントに相応しいものであったろう。
 「第5番」では清楚ですっきりした、まさに端整な美しい演奏が聴かれた。

 一方「ザ・グレイト」では、大きなスケールとエネルギーを備えた、闊達な音の運動といったイメージが感じられた。
 第1楽章冒頭のホルンの主題にせよ、提示部と再現部の終り近くで入って来る3本のトロンボーンによるモティーフにせよ、あるいは第2楽章中ほどでのあのホルンと弦との秘めやかな応答にせよ、夢幻的とか彼岸的とかいった世界とは対極的なイメージで演奏されている。快く流れて行く安定したテンポの中に、時には1小節ごとに、あるいはフレーズごとに、細かいデュナミークの変化が━━漸強と漸弱が繰り返されるなどの変化が付され、また時には内声部が浮き出させられながら多彩に構築される。

 その演奏は、まさにスウィングしているという表現がぴったり来るものだったであろう。私はこの曲に関する限り、あのフルトヴェングラーの夢幻性豊かな指揮に今なお憧れを感じるのだが、その一方で、このパーヴォ・ヤルヴィのようなスタイルにも魅力を感じてしまうのである。
    (別稿)モーストリー・クラシック3月号 公演Reviews
 この演奏会のあと、本来はサントリーホールへポゴレリチのリサイタルを聴きに行く予定だったのだが、彼のあの演奏を、こんな腰痛の体調のさなかに聴いたらどんなことになることやら。諦めて主催元へ欠席の連絡を入れる━━。

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