2021-06

2018・11・30(金)パスカル・ヴェロ指揮神奈川フィル

      横浜みなとみらいホール 大ホール  7時

 パスカル・ヴェロという指揮者は、日本ではどうも地味な存在だが、いい指揮者だ。つい先頃まで仙台フィルの常任指揮者を務め、この楽団の水準を飛躍的に高めたことは周知の事実である。一昨年の東京公演でのベルリオーズの「幻想交響曲」と「レリオ」を組み合わせた演奏会の見事さはそれを証明する一例で、記憶に残る名演だったではないか。東京でも、もう少し高く評価されてもいい存在のはずなのだが━━。

 そのパスカル・ヴェロが、神奈川フィルの定期演奏会に客演した。イベールの「寄港地」、ハイドンの「交響曲第44番《悲しみ》」、ベルリオーズの「イタリアのハロルド」(ヴィオラ・ソロは大島亮)というプログラムである。コンサートマスターは石田泰尚。

 ヴェロの制御のもと、神奈川フィルは実に綺麗な音で鳴り響いた━━1階席で聴くよりも、2階のバルコニー席で聴いた時の方が、いっそうその感が強くなる━━特に弦の響きは、2階バルコニー席での方が、圧倒的にふくよかに聴こえるようである。
 「イタリアのハロルド」の第2楽章がこれほど憂愁感に満ちて流れ、第3楽章の和声の美しさが浮き彫りにされた演奏は、そうしばしば聴けるものではないだろう。ハイドンの交響曲での演奏も、透明清澄な趣があり、美しかった。

コメント

パスカル・ヴェロさんの能力はとても高いと思います。ただ、ヴェロさんと同じ仙台フィルにいらした梅田俊明さんがフランス人の顔と名前であったなら、ヴェロさんと同等以上の評価を受けていたかもしれないとも思います。

 1日目を拝聴しましたが、「ハロルド」は前半、やや細かい所で弦や木管が揃わないところが多く、表現の面でも2楽章のテーマの繰り返しなどでもう一つ表現の工夫の欲しかったのですが、その後、尻上がりに表現のバリエーションや全体としての盛り上がりも出てきて、結果的に好演となりました。ヴェロ氏はスコアに目がゆくことがやや多く、慎重さは感じるのですが、後半の良さを考えると、もっと最初からぐいぐい引っ張っていっても良かったのでは、とも思います。今回はコンマスの石田氏の力量、存在感の充実をとりわけ感じました。特に1・4楽章では機能的、ロマン的、リズミックな内容をフレーズごとに、多角的に魅せつつ、楽員をリードしている‥そんな印象を強く持つことが出来ました。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」