2021-06

2018・11・23(金)第10回浜松国際ピアノコンクール 本選初日

      アクトシティ浜松 大ホール  6時

 ついに本選。出場者は11月20日の項にある通りだが、初日の今日は、務川慧悟、安並貴史、牛田智大が弾いた。このコンクールの本選での演奏曲目は、すべてコンチェルトである。サポートのオーケストラは、高関健が指揮する東京交響楽団。

 務川慧悟がKAWAIのピアノで弾いたのは、プロコフィエフの「協奏曲第3番」。 
 緊張のためか、出だしは音量も弱く、何となく自信無げな雰囲気に感じられ、聴く方でも気を揉ませられたが、曲がアレグロに入ると次第に活気を取り戻し、第2楽章後半あたりからはエネルギー全開となって行った。
 第3次予選で不満を残していた音色や表情の変化に乏しい点については今日の演奏でも解決されていなかったものの、端整に過ぎて面白味に欠けていたという点については、第3楽章での勢い充分な演奏がそれを帳消しにしてくれたであろう。演奏後の客席では、熱烈なブラヴォ―の声があちこちで湧き上がり、スタンディング・オヴェーションも随所で起こっていた。

 安並貴史は、ブラームスの「協奏曲第2番」を弾き、同じKAWAIのピアノでもこうも音が変わるかと思われるほど、冒頭のソロでは音色が清澄で美しいものになり、期待を持たせたのであった。だがしかし、━━演奏が進むほどに、その音色の淡彩さと、表情の端整さと生真面目さとが、この長大なコンチェルトを著しく単調に感じさせ、曲の長さを意識させてしまうという結果を生んでしまったのである。
 彼が浸る沈潜は、ブラームスの沈潜とは残念ながら異質のもののようだ。この曲を選んだことは、今の彼の音楽性からすると、意欲的ではあったものの、あまり賢明ではなかったように思われる。演奏終了後の客席は拍手に包まれたが、ブラヴォーやスタンディング・オヴェーションはほとんど無かった。

 初日の最後は、牛田智大が弾くラフマニノフの「協奏曲第2番」だった。
 ピアノはヤマハに変わり、そこから弾き出される音楽は、突然、圧倒的に明るくて恰幅のいい、鋭い力に満ちたものになった。といって、決してコンクール的な名技主義に陥る類のものではない。テンポやエスプレッシーヴォの変化も自然で生き生きしており、すべてが輝いているように感じられたのである。オーケストラの轟音にも打ち消されずに彼のソロがはっきりと聞こえていたのは、音量の豊かさゆえだけではなく、その音色の明晰さと、音楽の表情の豊かさとのゆえではなかろうか。
 演奏後の客席は文字通り沸きに沸いた。ともあれ、これは高得点をマークしたことは確実であろう・・・・と思われるのだが。

 明日は、強敵のイ・ヒョクが出る。噂では、第3次予選で私が聴けなかったトルコのジャン・チャクムルも、なかなかの強豪なのだそうだ。

 一言付け加えざるを得ないが、オーケストラは荒っぽくて、猛然と吠え過ぎ、ソリストの音を潰してしまうことがあまりにも多い。特にティンパニは言いようのないほど乱暴で、叩きつけ過ぎる。オケのバランスを取る点では名手と謳われるマエストロ高関の指揮なのに、これはまた、どうしたことだろう?

コメント

そんな乱暴な演奏をするとは…がっかり(^^;)

オケは日生劇場の二期会公演の為、人員を二分しているはずなので、むしろ反対に静まりかえっているのではないかと、真逆の心配をしてました。二日目に改善されていたであろう事を祈ってます。

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