2021-06

2018・11・1(木)ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン

     サントリーホール  7時

 「シューマン交響曲ツィクルス」第2日で、「交響曲第3番《ライン》」と「第4番」。
 過剰なほど濃厚な表情は昨日に変わらないけれども、作品の性格の違いの所以でもあろう、前日の演奏よりは少し落ち着いて来たような気もしたが━━しかしアンサンブルはやはり粗っぽい。到底これが昔、しっとりした味の「いぶし銀のような」と言われたあのシュターツカペレ・ドレスデンと同じオーケストラとは思えぬほどだ。かりにこれが指揮者の意図によるものだったら、随分と罪作りなものである。

 「ライン」は、特に快速楽章は、すこぶる力感的な演奏だ。オーケストラは昨日と同じ弦14型編成を採っているが、その音量と、噴出するエネルギー感は相変わらず強烈である。こういう演奏で聴くと、特に最終楽章でシューマンが意図的に仕組んだ微細なリズムの組合せも、一種のカオスのような響きに陥ってしまい、本来の洒落た味を失ってしまう。

 むしろ、陰翳を含んだ叙情的な第2楽章と第4楽章が出色の演奏だった。ものものしいところはあるが、勇猛果敢な勢いで煽り立てられることもないので、シューマン本来の姿にやや近づいたような気分になる。そこではティーレマン得意の「矯め」も時に効果的に使われており、アッチェルランドの呼吸の巧さなどでも、彼の良さが発揮されている。

 「第4番」の方は、演奏にも格段のまとまりが出て来て、しかも風格を感じさせるようになっていた。
 昨日よりは今日、1曲目よりは2曲目━━といった具合に、だんだんオーケストラの演奏がまとまって来るあたりは、やはりプレイヤーたちのメンタルのコンディションの所為なのか? 
 いずれにせよ、ティーレマンの激烈な解釈も、悲劇的な要素も含んでいるこの「第4番」での方が、より良く生きていたようだ。とりわけ内声部の動きの表情が豊かで、これは作品からいっそう魅力を引き出すもととなっていた。

 というわけで、このティーレマンとシュターツカペレ・ドレスデンのシューマン交響曲全集━━今回の演奏が彼らの本当のスタイルなのかどうかは、疑ってかかる必要もありそうである。本拠地ドレスデンあたりでもう一度改めて聴いて見ないと、判断しかねるような気がする。しかし、この名だたるコンビともあろう彼らが、そんな保留を必要とするような演奏を、こともあろうにこの東京でやるとは意外であった。
    (別稿)モーストリー・クラシック新年号 公演Reviews

※コメントでティーレマンのシューマンを絶賛されている「無記名」さん、「4番」にはフルトヴェングラーで入ったから、とのこと。なるほど、これは納得です。(実は私もフルトヴェングラーからだったのですが・・・・)。

コメント

私は、ティーレマンの演奏、とても満足でした。特に、第4番の方は、最初にフルトヴェングラーのレコードから入ったせいか、テンポが揺れ動き、トロンボーンがドイツの深い森から響く「神秘的な声」のように鳴ってくれないと、とてもシューマンを聴いた気になれません。よくある、中性的な無色無臭の演奏では、いつも不満に思っていました。ティーレマンさんは、正しくドイツ的な演奏に戻ってくれたように感じました。

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