2021-06

2018・10・31(水)ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン

      サントリーホール  7時

 強豪クリスティアン・ティーレマンがシュターツカペレ・ドレスデン(ザクセン・ドレスデン州立劇場管弦楽団)と繰り広げたのは、シューマンの交響曲全4曲連続演奏。今日は初日で、「第1番《春》」と「第2番」。

 所謂ロマン派の詩人━━繊細で多感な作曲家シューマンという一般的なイメージに対し、これほど距離を置く解釈を押し通した演奏は、滅多にないのではないか。
 豪放磊落、疾風怒濤、風神雷神・・・・とは少々オーバーだが、しかしそんな表現も合いそうな激烈な演奏だったことは確か。つまり仁王の如き力感と、強靭なエネルギーの爆発を持ったシューマン像が出現したようなものだ。

 それぞれの曲の両端楽章での荒々しい推進力は、躍動する時にも控えめで神経質な情感の動きが漂うというシューマンのイメージを、完全に超えたものだろう。ティンパニやコントラバスの唸りには、おどろおどろしい物凄さが聴かれることもしばしば。
 そして一方、「第1番」の第2楽章や「第2番」の第3楽章などの緩徐楽章に湛えられているシューマン特有の詩的なリリシズムさえ、この日のティーレマンの手にかかると、随分と濃厚で、色っぽいものに聞こえてしまう。

 ティーレマンのこの十数年来の指揮をいろいろ聴いていると、多かれ少なかれ、何かに憑かれたような「猛烈さ」が噴出していることが感じられるのは事実だ。だがそれにしても今回のシューマン解釈には、ある意味でそれが歯止めの利かない段階にまで来てしまったような・・・・。
 オーケストラの演奏の荒っぽさの方は、指揮者の注文によるものもあろうが、もしかして旅行疲れということもあるのか? それともツアーの中で、どこかの国で力任せの演奏でもやって、その影響がまだ残ってでもいたのだろうか?

 ただ、そういう騒々しい(と敢えて言わせていただこう)演奏ではあっても、ティーレマンの指揮は、音楽的な多彩さを常に備えている。内声部の動きがはっきりと浮かび上がり、シューマンのオーケストレーションもなかなか凝ったものだということを実感させてくれたのは確かであった。
   (別稿)モーストリー・クラシック新年号 公演Reviews

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