2018-11

2018・10・12(金)ピエタリ・インキネン指揮日本フィル

      サントリーホール  7時

 首席指揮者インキネンが振ったのは、シューベルトの「交響曲第5番」と、ブルックナーの「交響曲第9番」。共通した要素と、対照的な性格とを併せ有した、佳い組み合わせのプログラミングだ。

 インキネンが日本フィルハーモニー交響楽団と組んだブルックナーの交響曲は、これまで「8番」と「5番」を聴く機会があったわけだが、今日の「9番」での演奏は、「8番」の延長線上にある性格を示したもの、と言っていいだろう。
 沈潜したテンポを採り、オーケストラの巨大かつ緻密な建築を豊かな響きの裡に活かし、ブルックナーの音楽における荘重さを重視した演奏だ。それが決して重苦しいとか、暗いとか、物々しいおどろおどろしさとかいったものに陥らず、清澄で洗練された色合いを失わないところが、インキネンならではの特徴である。
 先頃のブルックナーの「5番」では鋭角的な響きの構築を優先していたことを思い出すと、インキネンは中期と後期の交響曲へのそれぞれのアプローチの違いをこのような角度で考えているのか━━ということが理解出来るような気もする。

 ブルックナーでの演奏は、それはそれで立派だった(第1楽章の初めの方ではちょっとおかしな個所が二つほど聴かれたが)。だが演奏の完成度の点では、今日の演奏会では、やはりシューベルトの方が上だったのではないか。その軽やかで澄みきった美しい瑞々しさは、まさにインキネンが、ほぼ60年ぶりに日本フィルに蘇えらせたもの━━と敢えて言わせてもらおう。
 なお今日はこのシューベルトの演奏の際、1階客席に前シェフのラザレフ将軍が堂々と陣取って聴いていた。そのカリスマも何かの形で影響していたか? コンサートマスターは扇谷泰朋。

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