2020-05

2018・9・24(月)サイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団 東京初日

    サントリーホール  6時

 ロンドン交響楽団とサイモン・ラトルとの今回の日本ツアーは、今週土曜日まで計6回の公演。
 今日はその東京初日で(日本ツアー初日は前日の大阪だった)、プログラムは、バーンスタインの「交響曲第2番《不安の時代》」、ドヴォルジャークの「スラヴ舞曲集作品72」(8曲)、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」。

 ラトルは、やはり英国のオーケストラを指揮すると、ぴったり決まる。
 ベルリン・フィルとのラトルも、それはそれでいいところはあったけれども、いまロンドン響との今日のような演奏を聴くと、音楽全体に、いかにも伸び伸びとした解放感が溢れかえっているように思えるのだ。彼がこのオケの音楽監督に就任したのは昨年9月のことだが、今日のプログラムでの演奏を聴くと、両者の呼吸も、既に完璧に合致しているように感じられる。

 ロンドン響も巧い━━それは技術的にという意味だけではなく、音楽の息づき、生き生きした表情、しなやかな躍動感、没入的な集中性と熱狂性、柔らかく厚みのある弦の音色、豊麗に溶け合う木管の音色といったものを、確実に演奏に漲らせているからだ。
 こういう特徴は、2013年春と2015年秋にハイティンクの指揮で来日した時にもある程度まで聴かれたけれども、今回のように徹底して見事な効果を上げていた演奏は、私は初めて聴くように思う。

 たとえば、「不安の時代」における弦の幅広いうねり、「スラヴ舞曲集」における木管群のしなやかな歌、「シンフォニエッタ」における金管と木管の音の渦━━鮮やかだ。
 強いて言えば「シンフォニエッタ」の幕切れ、オルガン下に並んだ金管群のファンファーレが一段落したあとの舞台上のオーケストラに、今ひとつ緊張に富む沸騰感が欲しかったところだが・・・・まあ贅沢は言うまい。
 いずれにせよ、ラトルにとっても、そしてロンドン響にとっても、この新しいパートナーは、互いに最良の(と言ってもいいだろう)組み合わせのように思われる。

 なお、「不安の時代」でピアノ・ソロを弾いたのは、おなじみクリスティアン・ツィメルマンだった。ラトルが最近入れた素晴らしいCD(グラモフォンUCCG-1810、ただしオケはベルリン・フィルだが)と同じソリストが来てくれるとは、何とも豪華なステージだ。
 彼の透徹した音色の、しかし毅然として鋭いピアノ・ソロが、オーケストラに対して明確な対比を創る。それは、いわば戦争の重圧の裡にたった一筋ながら流れ続ける平和への願望と、夜明けとともに訪れる白々とした虚無感━━もしくは秘めた希望のようなものを感じさせ、強烈な印象を残したのだった。

コメント

大阪で拝聴しました

大阪でのプログラムは、バーンスタインの不安の時代と、マーラーの交響曲第9番でした。どちらも素晴らしい演奏でした。ピアノのクリスチャン,ツィメルマンさんも圧巻。彼は来年2月にも東京でリサイタルをなさるそうです。マーラーも良かったです。ロンドン交響楽団とラトルさんの素晴らしさを実感したひとときでした。東条先生、初日は大阪でした。

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