2019-05

2007・5・18(金)ブーレーズ指揮、シェロー演出「死の家から」

   アン・デア・ウィーン劇場  8時

 数年ぶりに訪れるアン・デア・ウィーン、改築新装成ってからはこれが最初になる。
 席は最前列の5番。指揮しているピエール・ブーレーズが、すぐ目の前、左側に見える。歳を感じさせぬ、集中力に富んだすばらしい指揮を聴かせ、全曲1時間45分、休憩なしで振った。彼の指揮にかかると、オーケストラの細部まで聴き取れ、この曲が実に新鮮に聞こえる。

 演出はパトリス・シェロー。冷たい牢獄の壁を活用したモノクロームの舞台によるストレートなもの。囚人同士の間に暴力的な啀み合いを作っているのは、台本の読みの上である程度納得できるものだろう。全体としては特に変わった仕掛けはなく、極めて安定した演出である。際立ったプリモのいないこのオペラでは、それゆえ各囚人が個性的に描かれる必要があるだろうが、その点でもさすがシェローというべき、要を得た巧さが光る。

 歌手陣では、ルカ役のシュテファン・マルギータ、スクラトフ役のジョン・マーク・エインズリーが光っていた。シャプキン役のペーター・ヘーレは少し小型だろう。アレイヤはエリック・シュトクローサというテナーが歌った。ペトロヴィッチは、懐かしいオラフ・ベーア、特に長い持ち歌がないので分が悪いが、旦那然とした雰囲気だけはあった。
 オーケストラはマーラー・チェンバー・オケ、コーラスがアーノルト・シェーベルク合唱団。いずれも立派な出来である。

 この演出では、舞台にいろいろなものを落下させる。第2幕冒頭で天井から大量の紙屑が落下、パントマイム場面では大立ち回りがあり、同幕の最後は垂れ幕まで落下する。そのたびに、猛烈な埃が舞い上がる。オケ・ピットもひどいことになったろうが、われわれ前列の客たちも大変な被害だ。膝に乗せていたプログラムの上がザラザラになった状態だから、頭から服から、凄い埃を被ったわけだろう。かぶりつきも善し悪しだ。
 終演後にレストランで山崎睦と会食した際、この埃の話をし、「ほら」とばかりに髪をさらさらと触ったら、細かいチリのようなものがテーブルにバラバラと舞い落ちた。山崎睦が「やめて下さいよ」と飛び上がった。

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