2020-04

2018・9・14(金)上岡敏之指揮新日本フィルのR・シュトラウス

      すみだトリフォニーホール  7時

 新日本フィルハーモニー交響楽団のシーズン開幕定期は、音楽監督・上岡敏之の指揮。
 R・シュトラウス・プロで、「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「死と変容」の3大人気曲(?)の間に、首席の古部賢一がソロを吹く「オーボエ協奏曲」を挟み、更に彼のアンコールとして「カプリッチョ」からの「六重奏」を入れるというサービス満点の演奏会。コンサートマスターは崔文洙。

 上岡のR・シュトラウスものは定評がある。
 一昨年9月の音楽監督就任第1弾定期が「ツァラトゥストラはかく語りき」と「英雄の生涯」で、演奏も極めて良かったことを記憶している。その時の「英雄の生涯」の冒頭を、あまり劇的に過ぎることなく、柔らかく開始したのも強く印象に残っているが、今日の「ドン・ファン」の冒頭も、やはりそういう始め方だった。これが上岡のスタイルの一つというものだろう。

 ただ、この「ドン・ファン」の演奏は━━オケの音色やバランスのまとまりという点では、今ひとつだった。しかし、新日本フィルのもう1人の首席オーボエ奏者である金子亜未によるあの長いソロは見事だったし、終結近く、主人公が破滅するあたりの管の和音の響きは、暗黒の悲劇的な情景といったものをイメージさせ、印象深いものがあった。

 オーボエ協奏曲では、ほとんど全曲休みなしの吹き続けという感もあるソロ・パートを、古部賢一が美しく官能的に展開した。そのソロと対話するオーケストラの管や弦の精妙な音の動きが、もう少し明晰に浮かび上がっていてくれれば・・・・という気もしたのだが、これはおそらく、2日目の演奏では解決できる問題だろう。
 アンコールでの「六重奏」にしても同様、取り上げてくれたことは有難いが、この曲の夢幻的な醍醐味を再現するためには、もっと緊密に溶け合うアンサンブルを求めたい。これは、協演奏者(当該パートの首席)たちの位置との問題もあるだろう。

 休憩後の「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」と「死と変容」は、上岡と新日本フィルの2年にわたる共同作業の成果を感じさせる演奏だった。
 「ティル」ではオーケストラ全体が━━やや重いきらいもあるが━━躍動していて、ホルン群も完璧(ただし主力は客演奏者だったそうだが)で、演奏も映えた。大詰の「昔々あったとさ」のくだりでオーケストラに聴かれた情感は、その描写に相応しい演奏だった。

 そして「死と変容」は、今夜の演奏の中でも最良の出来だったと思う。この曲で最も重要な金管楽器群のハーモニーが、全曲にわたり確実に展開されていたからだ。そのハーモニーが、あたかも幽明の境をさまようかのように揺れ、暗い神秘的な雰囲気を醸し出す。「死と変容」にふさわしい演奏だったといえよう。
 上岡の指揮も、このR・シュトラウスでは、かなり自然体に近い。

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