2020-04

2018・9・3(月)サカリ・オラモ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル

     サントリーホール  7時

 今年春に、自ら首席指揮者を務めるBBC交響楽団を率いてやって来たサカリ・オラモが、今度は、同じく首席指揮者を務めるもうひとつのオーケストラ、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団と来日した。こちらは日本=スウェーデンの外交関係樹立150周年を記念してのイヴェントの一環とのこと。

 今日のプログラムは、「運命」と「巨人」の組み合わせというパワフルなもの。2曲ともかなり「豪壮」な演奏だった。
 ただ、ベートーヴェンの「交響曲第5番《運命》」の方は、大編成のオーケストラでノン・ヴィブラート奏法に近いスタイルにより演奏されたのはともかく、第1楽章などではもう少し一つ一つの音を明晰に響かせてもらいたいという感も拭えない。全曲にわたる鋭角的な響きが、この交響曲を、些かヒステリックなものにしてしまったようにも思われる。

 その点、たっぷりした音で、巨大な絵巻物を繰り広げるような演奏となったマーラーの「交響曲第1番《巨人》」の方が、私にはずっと楽しめた。起伏が大きいだけでなく、最弱音が豊かな拡がりを備えてひときわ美しい。しかも、音が少しも混濁せず、明晰さを保っているところがいい。
 とりわけホルン群がパワフルで、例えば第1楽章後半での3連音符による咆哮といい、第2楽章でのゲシュトップトのフォルティッシモの個所といい、あるいは全曲大詰の頂点での歓呼━━。それらがオケの最強奏を突き抜けて響いて来るさまは、なかなかに壮烈だった。

 この演奏では強弱の対比が鋭かったのも印象に残るが、それは普通の演奏に聴かれるようなフレーズごとの変化の個所よりも、弱音の上に突然閃くクラリネットなど木管のモティーフの扱いの個所に多く聴かれた。一種の表現主義的な演奏ともいうべきか。オラモの感性を窺わせて興味深い。

 というわけで、サカリ・オラモとストックホルム・フィル、今回はかなり個性的な演奏を聴かせてくれて面白かったが、プログラムは相変わらず客寄せを狙った名曲路線だ。
 招聘元も、その中にスウェーデンの作曲家の作品をせめて一つくらいは交ぜるくらいの度量を示せないものかと思う。今日は辛うじてアンコールに、それもアルヴェーンの「羊飼いの踊り」という軽快な小品が演奏されただけだった。

コメント

ストックホルム・フィル

お疲れさまです。
ご無沙汰しております。
4日の「第九」の日に行きました。
このオケは、硬質な音ですが、美しい響きで、さすがフルトヴェングラーが好んだだけはあります。
前半は、「ノーベル賞組曲」と銘打たれたビョルリン:ノーベルファンファーレ、モーツァルト:行進曲K249、ドヴォルザーク:スラヴ舞曲op46-8、シベリウス:カレリア組曲の行進曲、ラーション:田園組曲よりロマンス、アルヴェーン:放蕩息子よりシバの女王の祝典行進曲、というリラックス感満載の連曲で、選曲の妙もあり、頗る楽しめました。ベートーヴェンは、緩徐楽章は叙情的で清澄さもあり、よかったとおもいましたが、他楽章は、切り込み不足の感は拭えませんでした。新国合唱団の日本語的な発音も気になりました。

 上記のコンサート同感です。祝祭的な内容ではありましたが、第九については内容的に、表現の点で物足りない気がしました。合唱もそうですが、独唱についても、ソプラノが最後の音が上ずったようになってしまう、あるいは、男性もずいぶん緊張している様子で、表現のレベルでなかったような気がします。
 近年、12月の第九でも外国のソリストが招聘されることがありますが、楽譜を見ながら、という点を異様に思ってしまうのは、我々日本人が第九を聞く機会が多すぎるから仕方ないにしても、また、声楽の場合、好不調が大きく出やすいことを考慮するとしても、結果的に、なぜわざわざ呼んだのか?というケースにしばしば遭遇します。外国人のソリストの場合、少なくとも原語の発音は良いのかもしれませんが、やはり、事前にどれくらいの成果が期待できるのか、指揮者も、招聘元もしっかりと把握した上での依頼をお願いしたいですし、そうでなければ、歌いなれ、表現も期待できる日本人ソリストのほうが良いのだと思います。
 また、鑑賞する側も、そうした点を踏まえ、けっして外国人のソリストだが羅、一流だ、絶対間違いないと決めて悦に浸ってはいけないと思います。残念ながら、この日はとりわけ、各所でブラボーを叫び続ける人や、ガンガン耳を圧迫する激烈な拍手が多く、大変、迷惑を蒙りました。客観かつ、冷静に音楽を楽しみ、考えてほしいものです。

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