2019-08

2018・8・1(水)ミンコフスキ&OEK「ペレアスとメリザンド」東京公演

      東京オペラシティ コンサートホール  7時

 ゲルギエフとPMFオーケストラの東京公演も聴きたかったのだが(同日同時間にかち合うのだから困る)、いろいろな事情から、今回はこちら、マルク・ミンコフスキ指揮オーケストラ・アンサンブル金沢の渾身の企画「ペレアスとメリザンド」の、その東京公演を選ぶ。

 この東京公演は、2日前の石川県立音楽堂での上演の際と違って、このホールの舞台機構上の制約のため、全く形を変え、セミ・ステージ形式という形で上演された。
 舞台奥上方、オルガンの前に巨大なスクリーンがひとつ設置されただけで、紗幕はひとつも無い。登場人物(すべて金沢上演と同様)の演技は、今日は全てオーケストラの前、舞台前方スペースで行なわれ、ごく稀に奥のスクリーンの下手側のスペース(席)が利用されることもある。もちろん、上手側の張出舞台などは設置されていない。
 また映像の内容は、基本的には金沢上演と同一だが、こちらは紗幕がないので、奥の大スクリーンにすべてまとめた形で投映される。事務局の話では、「今回用に」作り直した由。

 かように舞台は、2日前のボルドー/金沢版とは極度に異なる形態となり、その結果、夢幻的な世界とか、底知れぬ闇とか、異次元的世界との交流とかいった要素はすべて失われることになってしまった。東京公演に際し、その理想を実現できるホールが取れなかったことは痛恨の一事というほかはあるまい。

 ただ、それはそれとして、今日の上演にもそれなりの良さはある。紗幕がないため、中央スクリーンに投映される映像が、金沢上演の時よりずっと明晰で、あれこれ目を凝らさなくても済んだこともそのひとつ。
 何より、舞台上の複雑細微な景観に気を取られずに、ドビュッシーの陶酔的な音楽、マルク・ミンコフスキとオーケストラ・アンサンブル金沢の入魂の演奏、歌手陣(金沢と同一)の劇的な表現に溢れた歌唱などに集中できたことは、これは有難い。

 また、今日は1階の最後方の席を希望して座ったのだが、少なくともその位置で聴く限り、オーケストラと声楽のバランスは理想的なものに聞こえた。━━このホールは席の位置によってバランスや音色がかなり異なる傾向があり、特に声楽の場合にはなかなか難しいものがあるから、前方や側方で聴いていた人々はどう感じたか判らないけれども。

 この最後方の席を希望したのは、例の「間奏曲」の問題で、こっそりスコアと照合して確認しようかと思っていたからなのだが、客席は非常灯も消されて真っ暗で、スコアどころではなかった。だが、確かに間奏曲は━━全部がとは言えぬまでも、短かった。これがドビュッシーの最初の案だったのか、と複雑な思いに駆られたが、あの「好きな個所」が出て来ないというのも、少々残念ではあった。
 10時15分頃終演。音楽的には素晴らしい、魅力的な「ペレアスとメリザンド」だった。

 ミンコフスキ、次は5日のミューザ川崎での都響との「くるみ割り人形」の演奏会形式による全曲だが、どんなものになるか。
 かんじんのOEKとの定期での指揮は来年7月まで無いそうだが、芸術監督就任とあらば、もう少し指揮の機会を増やしてもらいたいところだ。

コメント

東条先生のアドバイスに従い、オペラシティでは1階席後方寄りの席を取りますが、ペレアスでも、オケ、声楽のバランスがばっちりで堪能しました。これまでペレアスはつかみどころのない苦手な曲だと思っていましたが、こんなにすばらしい曲だったかと、いまさらながら開眼しました。OEK、まさしく入魂の演奏で、セミステージ形式とはいえ、こんなペレアスが実演で聴けるなんて、ミンコフスキに感謝です。

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