2021-06

2018・7・13(金)シモーネ・ヤング指揮新日本フィル

      すみだトリフォニーホール  2時

 3年前までハンブルク州立劇場の音楽総監督を務めていた女性指揮者シモーネ・ヤングが客演。新日本フィルハーモニー交響楽団にはこれが初めての登場と聞く。

 今日のプログラムは、ブルッフの「ヴァイオリン協奏曲第1番」(ソリストは木島真優)と、ブルックナーの「交響曲第4番《ロマンティック》」の1874年初稿版。コンサートマスターは崔文洙。

 「4番」は、ブルックナーの交響曲の中で、「初稿」と「決定稿」(1878/80年稿)との間に最も大きな落差のある作品だ。流れよく構築された決定稿に比べ、この初稿の方は、何とも雑然として流れが悪く、ゲネラル・パウゼばかり多い。要するに、ヘンな曲なのである。
 第3楽章など、性懲りもなく反復されるホルンのシグナルには、もう分かりましたよ、と文句を言いたくなるほどだし、第4楽章などは、せっかく主題として出したのならもう少しみんなに解るように続けたらどうなんですかね、とでも言いたくなる。
 しかし、それゆえにこそ、ブルックナー愛好者にとっては、この違いが何とも面白いのだ。時には辟易させられるけれども、やはり楽しいのである。

 だが今日、初めてブルックナーの交響曲を聴いた人の耳には、どう響いたか? 甚だまとまりのない、さっぱり解らない曲だと思われたかもしれない。
 こういう曲の場合、演奏の前に(客がざわついているプレトークでではなく)、かつてアルブレヒトと読響がよくやっていたように、オーケストラのサンプル演奏を加え、二つの稿の違いについて、ある程度の解説をした方が、お客に対して親切だったのではないか。
 もっとも、このオーケストラの今の状態では、そういう細かいワザは望めそうもないが。

 しかし、演奏そのものは、実に良かった。楽章を追うにしたがって、安定感を目覚ましく増した。特に後半2楽章は、ほぼ完璧な出来と言ってもよかったのではないか。
 とりわけ活躍の場が多いホルンのソロ(1番ホルン)は、第1楽章冒頭のみはちょっと慎重に過ぎた感があったが、ただちに安定度を加えて見事な演奏となり、特に第3楽章で朗々たるソロを聴かせてくれた。
 しかし残念ながら(?)この人は、新日本フィルの奏者ではなく客演で、群響の首席である濵地宗さんだった。おそろしく巧くて、聴いていてスカッとする。ともあれ、今日はホルン・セクション全体も充実していたといえよう。

 シモーネ・ヤングは、新日本フィルを実に巧みに昂揚させ、総休止の多い作品にもかかわらず、全体に力感と緊張感とを持続させた。並み居る女性指揮者の中でも、彼女は抜きん出た存在だと思うが、今日の指揮はその証明の一つである。彼女のブルックナーは、CDで聴くよりも、ナマで聴いた方が遥かに色合いの変化が感じられて面白い。

 前半に演奏されたブルッフのコンチェルトでは、木島真優が実に骨太な、がっしりした構築のソロを聴かせてくれた。素晴らしい成長ぶりである。ただ、指揮者とオーケストラは、どうやらブルックナーの方にリハーサルの時間を多く割いたか?

 シモーネ・ヤングは、終演後にまたサイン会を開いたらしい(私は次の演奏会場に向かうためにそのまま失礼したが)。相変わらずサービス精神に富む人である。実は私も以前、ハンブルクで彼女の指揮する「ヴァルキューレ」を聴いた際に・・・・(→2008年11月12日の項)。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/3000-724e5bb8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」