2019-11

2018・6・19(火)コルネリウス・マイスター指揮読売日本交響楽団

     サントリーホール  7時

 首席客演指揮者コルネリウス・マイスターの登場。

 去る16日に死去したゲンナジー・ロジェストヴェンスキーを追悼して、最初にチャイコフスキーの「くるみ割り人形」から「冬の松林」が彼の指揮で演奏された。
 半明かりの舞台で響いたこの曲も演奏もすこぶる感動的で、今にもあの巨匠が指揮台からにこやかな顔を客席に向けてくれるのではないかとさえ思えたほどである。最後に彼を聴いたのは昨年5月19日の読響との「シャルク版ブルックナー」だった。それは昨日のことのような気がする。
 私も読売新聞紙上に彼を追悼する小文を書いたが(6月20日朝刊文化欄)、たとえ千万言を尽しても、今日のこの曲の演奏が持っていた慟哭の力には、到底及ばない。

 さて、読響首席客演指揮者コルネリウス・マイスターは、今月は3種のプログラムを指揮するが、今日はR・シュトラウスの作品集だ。彼はドイツで最近この作曲家のオペラを盛んに指揮して評判を呼んでいるというし、私も何となく、彼とシュトラウスは相性が良いのではないかという気がしていたところである。
 今日のプログラムは前半に交響詩「ドン・キホーテ」で、協演のソロは、チェロが石坂団十郎、ヴィオラが柳瀬省太、ヴァイオリンがコンサートマスターの小森谷巧。休憩後に「カプリッチョ」からの「前奏曲と月光の音楽」、「影のない女」による「交響的幻想曲」。

 マイスターは、大編成のオーケストラをバランスよく壮大に構築する。音楽の「持って行き方」もなかなか巧く、「ドン・キホーテ」でのリズムも切れがいいし、「影のない女」のクライマックスでの昂揚感にも見事な壮大さが聴かれる。なるほど彼がR・シュトラウスを得意とする所以が那辺にあるかを証明する演奏であったことは確かである。

 しかし、どうにも一つ物足りなさを感じさせるのは、彼の指揮のコクのなさ、一種の素っ気なさだ。
 今日の演奏には、R・シュトラウスの音楽が持つはずの特殊な官能性は、その音楽に本来備わっているもの以上のものは全く顕れておらず、むしろ薄められている傾向さえ感じられる。「カプリッチョ」冒頭の六重奏(読響の弦の1番プルトたちの演奏自体は見事だった)の雰囲気もそうだし、「影のない女」のチェレスタの個所などでも、もっと甘美さがあったらと思う。弱音で曲が終結するような個所でも、ゆったりと余韻を籠めて終るなどということはやらず、至極あっさりと、ストンと終る。

 このマイスターという人、これまで聴いたマーラーなどの演奏なども含めて感じるところでは、手堅いのが身上らしい。もう少し、良い意味でのあざとさというか、何か新しい発見をさせてくれる指揮者であって欲しいのだが・・・・。いずれにせよ、もう少しいろいろ聴いて見ないことには。

コメント

対向配置が効果的

オケはVnの対向配置、Vaは向かって左側。確かに素っ気ない指揮だったのかもしれませんが、もともとオーケストレーション秀逸な曲ですから、下手に気張らない方が曲の魅力が良く伝わります。録音では得られない美しい瞬間が多々ありました。柳瀬さんが素晴らしく、石川さんの影が薄くなってしまいました。
“影のない女・交響的幻想曲”、シュトラウス自身が編曲したものだとは全く知りませんでした。オペラでは場面転換の音楽が数か所あり、聴かせどころとなっていますが、“交響的幻想曲”にはほとんど含まれておらず、これを聴いてもオペラの素晴しさは全く伝わりません!

R.シュトラウスの3つのプログラムの前にロジェストヴェンスキーの追悼演奏、昨年5月の横一列にズラッと並んだ金管の迫力の豪快な巨匠の演奏会を思い出しながら、
聴きました。
シュトラウスいずれも楽しめましたが、影のない女組曲部隊一杯の大編成で精妙かつ壮麗な音の饗宴、やはり生のサウンドで聴く素晴らしさを堪能出来ました。
もっと取り上げて然るべき組曲と思いました。

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