2018-07

2018・6・16(土)キュッヒル・クァルテットのブラームス

     サントリーホール ブルーローズ  7時

 7時からは、同じサントリーホールの、今度は小ホール。「チェンバーミュージック・ガーデン」の一環、キュッヒル・クァルテットの登場だ。
 現在のメンバーは、第1ヴァイオリンがライナー・キュッヒル、第2ヴァイオリンがダニエル・フロシャウアー、ヴィオラがハインリヒ・コル、チェロがロベルト・ノーチ(この人、ハンガリー出身だからナジ、かと思っていた)である。ただし今回はチェロがエディソン・パシュコに変わっていた(これを書き加えておくのをケロリと忘れておりました。ご指摘恐縮。大変失礼しました)。

 今日はブラームス・プロで、最初に「弦楽四重奏曲第2番イ短調」が演奏され、休憩後にはヴィオラの豊嶋泰嗣とチェロの堤剛が加わり、「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調」が演奏された。

 おなじみキュッヒル先生は、相変わらず「キュッヒルぶし」全開の演奏だが、今日はいつぞやのベートーヴェン・ツィクルスの時より演奏にコントロールを利かせていたし、また作品もブラームスなので、キュッヒルの「自由な感興にあふれて際立つ」ソロも、むしろロマン的な雰囲気を感じさせてくれるという、いい方に生きていただろう。

 とにかく、このウィーンの4人の演奏には、えもいわれぬ味があるのは周知の通り。昨夜のトリオ・ヴァンダラーの生真面目そのものの演奏に比べると、こちらキュッヒルたちのアンサンブルは、その解放感、明るい闊達さなどもあって、聴いていてずっと楽しい。演奏にあふれるあのウィーン的な情緒を備えた独特の味が、たまらない魅力を感じさせてくれるのだ。

 また、「六重奏曲」で加わった豊嶋も堤も、十全にそのアンサンブルに溶け込み、しっかりと中音域や低音を支え、見事なブラームスの世界をつくり出していた。
 この演奏におけるあたたかい情感は、何といっても良きウィーンの香りそのものであろう。私としては第1楽章を聴きながら、あたかも五感がとろけて行くような、言いようのない陶酔を久しぶりに味わったものである。

 アンコールでは、同曲の第3楽章がもう一度演奏された。私の個人的な好みとしては第2楽章をやってもらいたかったな、という気がするのだが、それでは長くなるだろう。あの映画「恋人たち」とこの第2楽章とを結びつけて感慨に浸るような人は、もうほとんどいなくなっているかもしれない。

コメント

チェロはパシュコに代わっているのに、ノーチに見えたのでしょうか

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