2018-07

2018・6・14(木)オロスコ=エストラーダ指揮フランクフルト放送響

      サントリーホール  7時

 フランクフルト放送(hr)所属のhr交響楽団「hr sinfonie ochester」ではさすがに解り難いというわけか、国外向けにはまた「Frankfurt Radio Symphony」という名称を使っているようである(オーケストラのサイトによる)。

 今日はラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」(ソリストはチョ・ソンジン)と、マーラーの「交響曲第5番」。
 ほぼ同じ時期に作曲された作品とはいえ、音楽的には極めて異質な2曲である。全く共通性も関連性もない作品だ。およそつりあいの取れないプログラムとは、こういうものを謂うのだろう。
 フランクフルト放送響が来日して演奏するなら、なにもラフマニノフでもあるまいに、と思う(断わっておくが、ラフマニノフの作品が悪いと言っているのではない)。どうせやるなら、このオケのスペシャルをもっとやってもらいたい、ということである。

 アンドレス・オロスコ=エストラーダは日本では未だ知名度が高くないから、チョ・ソンジンの人気で客を集めようという招聘元の目論見だろうし、それはそれでいいだろう。
 だが、マーラーの交響曲と組み合わせるなら、チョ・ソンジンもそろそろモーツァルトかベートーヴェンの協奏曲あたりで勝負に出るということもやってみてはいかがなものか、とも思うのである。まあ、これも勧進元の意向もあるから、簡単には行かないだろうけれども。

 それはそれとして、そのラフマニノフの「協奏曲第2番」は、サントリーホールの正面2階席最前列で聴くと、オーケストラ・パートの方が勝って聞こえて来てしまう、ということが、不思議にこのところ多い。今回も同様だった。
 したがってチョ・ソンジンの素晴らしさは、今日はむしろソロ・アンコールで弾いたドビュッシーの「金色の魚」に聴かれた。この色彩の変化に富んだ演奏は、実に見事なものだった。

 マーラーの「5番」の方は、良くも悪くも、今のオロスコ=エストラーダの指揮の特徴を顕わしたものだろう。
 元気いっぱい、体当たり的な熱演であり、直截なエネルギー感に満ちていて、好感が持てる。推進力も充分なものがある。ただそのいっぽう、各声部の交錯を巧く整理し、音楽に変化のある流れを形づくるという点では未だし、という感がないでもない。ありていに言えば、響きが雑然としてしまうところが多いのだ。

 彼はデュナミークの対比には綿密に気を配る人で、それは概して成功していた。が、第5楽章終結近く、金管群が全力で吹きながら漸弱と漸強を繰り返す聴かせどころ(練習番号【33】以降)━━ここでの「再クレッシェンド」は実に壮大な迫力を生み出すのだが━━では、勢い余ってか、そのあたりの細かいニュアンスが無造作に片づけられてしまっていたのが惜しまれる。

 なお、第3楽章での1番ホルンはステージ前方━━第1ヴァイオリンの第3プルトあたりの前方に出て吹いていたが、これがめっぽう上手い奏者で、しかも前述の席で聴く限り、奥のホルン・セクションとのバランスも非常に良いのにも感心した。

※アンコール記載は挿入ミスでした。「アダージェット」は、レ・シエクルのコンサートの方です。大変失礼。

コメント

大阪で拝聴しました

大阪、フェスティバルホールでのプログラムは、ワーグナーの歌劇[リエンツィ]、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、ドヴォルザークの交響曲第9番[新世界より]でした。名曲中の名曲、欲を言えば、このオケならではの曲も聴きたかったです。六月の大阪での海外オケコンサート、3つも[新世界より]が並んでいます。聴き比べると面白いかもです。

立派な演奏でした。

6月14日のサントリーホールで小生も拝聴。東条先生ご指摘のとおり、ラフマニノフのピアノ協奏曲の実演では、分厚いオケの響きに独奏ピアノが埋もれてしまって欲求不満を感じることが少なくありませんが、小生は1階最前列中央やや右側でコンサートグランドを見上げるような席に座ったため、ピアノの響きを直接的に受け止めることができ、高度なテクニックに支えられたスケール大きいソンジンさんの演奏を堪能することができました。
後半のマーラーを含め現代的でスマートな演奏、前半では濃厚なロシアの歌が、後半ではマーラーの少し病的でアブノーマルなところが、それぞれあまり感じられす、やや陰影に乏しい印象もありましたが、とても立派な演奏だったと思います。若い指揮者と独奏者、年齢を重ねるにつれ、さらなる円熟が生まれてくることでしょう。

アンコール

オーケストラアンコールはなかったと記憶しますが・・

アンコール?

同じ演奏会を聞いていましたが、ビゼーのアンコールなど無かったです。別のコンサートと勘違いされているのでは?サントリーホールのアンコールリストにも記載されていないようですし。

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