2019-12

2018・5・23(水)ロイヤル・オペラのシネマシーズン 「マクベス」

     日本シネ・アーツ社試写室  1時

 東宝東和が配給している英国ロイヤル・オペラのライヴ映像上映シリーズのひとつ、ヴェルディの「マクベス」の試写会を観る。

 去る4月4日に上演されたもので、フィリダ・ロイドの演出、アントニオ・パッパーノの指揮。ジェリコ・ルチッチ(マクベス)、アンナ・ネトレプコ(マクベス夫人)、イルデブランド・ダルカンジェロ(バンクォー)という豪華主演陣に、ユシフ・エイヴァゾフ(マクダフ)、キム・コヌ(マルコム)らが協演している。

 映画監督ロイドによる演出は、伝統的なオペラ的手法によるスタイルで、演劇的な面白さはあまりないけれども、ドラマの展開のすべてを魔女たちが操っているという設定に最大の特徴がある━━という具合の、どこかで観たことのある舞台だと思ったら、これは3年前にロイヤル・オペラが来日した際に上演したのと同じプロダクションだった(2015年9月15日の項参照)。
 しかし、今回の現地上演映像で観られるものは、あの日本公演とは全く桁違いに豪華で緊密な上演内容である。

 まず歌手陣が、あの時とは比較にならない。ルチッチは堂々たるマクベスであり(ただし「芝居」はあまり細かくない)、ネトレプコは鬼気迫るマクベス夫人で、かつ低音域の声に迫力を増した見事な歌唱(上手くなった!)を聴かせる。
 そしてパッパーノが指揮するオーケストラと合唱の重厚でありながら鋭いアクセントを持った演奏は、当時のヴェルディの気魄を表現して余すところがない。宣伝を頼まれたわけではないが、これは、大いに見る価値のあるライヴだろうと思う。

 なおこの上演、案内役の女性は「改訂版による上演」と言っていたが、それは周知の如く、そう簡単に片付けられるものでもない。例えば全曲大詰の場面では、マクベスの最後のモノローグと、戦勝の讃歌とのいずれもが演奏されている(先年の日本上演では、たしか初演版による上演だったか?)。

 幕間の時間には、パッパーノがピアノ(ヤマハ!)を弾きながら、作品の特徴を解説するコーナーがあって、これが毎度のことながら非常に面白い。「人々の茫然たる驚きを表わすために休止符がどのように活用されているか」などという話など、彼が語ると実に説得性があるのだ。
 上映時間は約3時間半で、6月15日~21日にTOHOシネマズ系の映画館で上映の由。

 このロイヤル・オペラのシリーズは、松竹がやっている「METライブビューイング」と違い、PRもかなり控えめだし、各映画館での上映スケジュールもちょっと判り難いのが残念だが、上映ラインナップは年々少しずつ充実して行っているように感じられる。
 今秋からのシーズンにはヘアハイム演出による「チャイコフスキーの生涯とオーヴァーラップさせた」という「スペードの女王」や、あのキース・ウォーナーの演出による「ヴァルキューレ」などが予定されているというから、私は期待しているのだが。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2965-55c189e0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」